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衆議院解散をうけて石破内閣総理大臣記者会見

記者会見に臨む石破茂総理

お待たせいたしました。
本日、衆議院を解散いたしました。国民の皆様の御納得、そして共感。これなくして、政治を前に進めることはできません。国民の皆様方に信を問い、その御信任を得て、新政権の掲げる政策に力強い後押しをお願いしたいと、このように考えております。

今回の総選挙に臨むに当たりまして、党総裁として、政治への信頼を回復するための取組として、公認、比例名簿への登載について、新たな方針を示させていただきました。自民党則における「選挙における非公認」よりも重い処分を受けた者などは、非公認といたします。また、その他の不記載があった議員につきましても、比例名簿には登載しないとの方針といたします。所属議員が一人一人の有権者に真摯に向き合い、説明を尽くし、理解を得なければ、国民の皆様方の信頼を取り戻すことはできません。したがいまして、一部の議員の重複立候補を行わないことといたしました。私も含め、党四役も重複立候補は行わないと、このようにいたしました。

私は、内閣総理大臣に就任して、直ちに能登半島の被災地へ向かいました。地震と豪雨の二重災害に苦しんでおられる方々の「何で自分たちだけがこんな目に遭わなければならないのだ」と、そのような悲痛な叫びが今も耳に強く残っております。
政治は、こうした声に応えていかなければなりません。国として、こうした声に最大限応えるべく、能登の9月の豪雨を激甚災害に指定することを決断いたしました。あわせて、早急な対応を可能とするため、予備費措置を講ずることといたします。施設・設備を復旧する「なりわい補助金」や農業用機械・施設を復旧する「農地利用効率化等支援交付金」などについて、地震による被害を受けた方々が、再度、今度の豪雨で被害を受けた場合につきましても支援の対象として追加することといたします。
平時からの備えであります事前防災を強化していかなければなりません。災害が起きてからでは遅い。被災して、絶望のふちにおられる方々が不自由な生活を強いられることのないよう、多くの先進国で見られるような、数時間のうちにコンテナトイレ、キッチンカー、プライバシーが確保されたテントがやってくる、このような体制を早急に整えてまいります。

1995年のことかと思います。阪神・淡路大震災がございました。そのときに、危機管理のエキスパートであります後藤田正晴先生がこのようなことをおっしゃいました。「天災は防ぐことはできない。しかし、その後に起こることは全て人災である。」このように後藤田先生がおっしゃったことを私はよく覚えておるのであります。
専任の大臣を置き、そして、災害対応のエキスパートをそろえた防災庁の設置に向け、まずは内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面におきまして抜本的に強化すべく、担当大臣に検討の加速を指示いたしました。
世界有数の災害発生国である我が日本において、国民の皆様を災害から守らなければなりません。それができるのは誰なのか。国民の皆様方にぜひとも御判断いただきたいと思っております。

この政権は、「地方を守る」政権であります。今や全国の地方におきましては、地域そのものが消滅する、言わば「静かな有事」が起きております。私は、10年前、初代の地方創生大臣を務め、地方の皆様方に勇気づけられ、そして、自らの情熱を燃やしてまいりました。しかし、当初の目的が達成されたとは到底言い難い状況にあります。この10年間の成果、そして反省を踏まえ「地方創生2.0」として、次の10年を期間として、地方創生を再起動いたします。
地方創生は、都市対地方という二項対立では決してありません。日本全体に安心と安全を取り戻し、持てる潜在力を最大限に引き出し、日本全体を創生させるべく、この取組は必ず成功させます。
地方創生に向けた新しい本部を今週にも設置し、年末に向け、基本的な考え方を取りまとめてまいります。
地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増させ、地域の独自の取組を強力に後押しいたしてまいります。地方の成長の根幹であります農林水産業の持てる力、これを最大限に引き出し、観光業を始めとするサービス産業の高付加価値化、AI(人工知能)・半導体に対する民間企業の投資を引き出す計画的な支援などを進めてまいります。

長い地道な取組により、デフレからの脱却に向けた歩みは、確かなものとなりつつあります。その一方、国民の皆様方が約30年ぶりの物価上昇に直面しておられることも事実であり、当面の物価高対策とともに、実質賃金の上昇を実現していかなければなりません。
「経済あっての財政」との大方針の下、「賃上げと投資が牽引(けんいん)する成長型経済」を実現するため、「物価高の克服」、「日本経済・地方経済の成長」、「国民の安心・安全の確保」を柱とする経済対策を実行するように全閣僚に指示いたしました。2020年代に全国平均1,500円という高い目標に向けて、最低賃金を着実に引き上げるための支援を強化いたしてまいります。
企業数の99パーセント、雇用者数・労働者数の約7割を占める中小企業を強力に支援するため、生産性の向上の促進と価格転嫁を確実に定着させる下請法の改正等による取引適正化を徹底いたします。
何よりも国民の皆様方の目線に立って、「生活が良くなった」、「安心して暮らせるようになった」、そのように実感していただけるように、政策パッケージを速やかに練り上げ、実現してまいります。

中国やロシアの領空侵犯、北朝鮮の度重なるミサイル発射など、今、日本は戦後最も厳しく、複雑な安全保障環境に直面しております。
平穏な日々が一瞬で失われてしまうような光景を我々は何度も目にするようになりました。それは決してテレビの画面の中だけではない。明日、アジアで起きてもおかしくない時代を迎えております。「日本を守る」ことができるのは誰なのか。安全保障の世界に長く身を置いた者として、私は、今こそこの国のために、日本国のために、持てる力の全てを使ってまいります。

この政権では、国民の皆様のため、外交力と防衛力の両輪をバランスよく強化し、我が国の平和、地域の安定を実現いたします。
私は、就任早々、バイデン合衆国大統領と電話会談を行い、日米同盟を更に力強く発展させていくことを確認いたしました。北朝鮮の拉致問題につきましても連携していくことを確認いたしました。
「自由で開かれたインド太平洋」を守り抜くため、韓国の尹(ユン)大統領、そして、オーストラリアのアルバニージー首相との電話会談も行い、連携の強化を確認いたしました。中東情勢の緊迫化を受け、G7(主要7か国)の首脳とも電話協議を行いました。
本日深夜からASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議に向け出発し、ASEAN諸国並びに中国、インドなどと首脳同士の関係を構築してまいります。
引き続き地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導いたしてまいります。このため、「アジアにおける安全保障の在り方」について検討するよう、本日、自由民主党に指示いたしました。
防衛力の最大の基盤である自衛官の処遇改善、勤務環境の改善のほか、若くして定年退職を迎える自衛官が現役時代の知見や技能をいかしつつ、退職後も社会で存分に活躍できる生涯設計を描けるよう、私が議長を務める関係閣僚会議を、本日設置いたしました。関係省庁が連携して取り組むべき方策の方向性と令和7年度予算に計上すべき項目を年内に取りまとめてまいります。

平成24年に政権に復帰して以来、安倍総理、菅総理、岸田総理の3人の総理・政権の下で経済再生に向けた努力が重ねられてまいりました。この結果、雇用環境の改善、賃金、株価ともに大いに上昇してきており、30年続いたデフレ経済からの脱却も目前に迫りつつあります。この流れを引き継ぎ、更なる成長と国民所得の拡大を図るため、そして、国民の暮らしを経済と心の両面で豊かにしていくための新たな道筋として、「地方創生」を進めてまいります。
地方へ人・モノの流れを拡大し、デジタル化を進めるなどによりまして、どこに住んでいても仕事や勉強ができ、必要な医療や福祉が受けられる、そのような豊かな社会を実現いたします。そして、元気になり、豊かになった地方と都市が結びつくことにより、都市部の人々にとっても仕事や学び、余暇を含めた暮らし、人生の選択の幅が広がることになります。
"新たな地方創生"は、いわゆる"まちおこし"の延長ではございません。日本の社会の在り方を大きく変える、日本創生の試みであります。この大変革を思い切って実行するためには、国民の皆様方からの信任が必要です。

この解散は「日本創生解散」です。我々の政権は日本を守ります。国民を守ります。都市の安全安心を確保し、地方の暮らしを守ります。若者・女性の機会を守ります。 どうぞ我々に政権を託してください。心よりお願いを申し上げます。ありがとうございました。