2021年10月5日(火)11:03~11:32
於:党本部平河クラブ会見場
【冒頭発言】(甘利幹事長)
本日の役員連絡会の概要を申し上げます。
私からは、新執行部初の役員連絡会となる。今週7日から、参院補選が静岡と山口で行われる。両選挙において必勝を期すべく協力をお願いする。
先般、総裁より、副総裁を設置したいとの意向が示され、麻生太郎衆院議員を副総裁内定者として指名があった。今後、党内の手続きを経て正式に決定する。また、幹事長代理として、田中和德衆院議員・左藤章衆院議員を内定者としたい。
森山国対委員長からは、昨日、臨時国会が召集され、岸田総裁が内閣総理大臣に指名された。8日に所信表明演説が行われ、代表質問は11日と12日に行われる予定。
岡田参院国対委員長からは、8日に所信表明演説、代表質問は12日と13日に行われる予定。
関口参院会長からは、岸田内閣がスタートし、参議院自民党としても全力で支えていく。役員人事について、国会対策委員長には岡田直樹君、幹事長代行には野上浩太郎君にお願いをした。
世耕参院幹事長からは、静岡と山口の参院補選は、投開票日の翌週が総選挙の投開票日となる。しっかり勝利をして、総選挙に勢いをつけられるよう、全力で取り組んでいきたい。
遠藤選対委員長からは、昨日、岸田総裁から、衆院選の日程が示された。万全の態勢を整えたい。7日告示、24日投開票の参院補選は、静岡は新人で前・御殿場市長の若林洋平氏を、山口は北村経夫氏を公認している。ご協力をお願いする。
高市政調会長からは、昨日、総裁より、総選挙の期日が示されたので、政権公約の策定作業を急ピッチで進めている。
福田総務会長からは、総務会は8日11時より開催する。
役員連絡会の概要は以上です。
質疑応答
- 朝日新聞です。衆院選で自民党の議員同士が公認を争う競合区についてお伺いします。公示が迫っておりますけれども、自民党では10程度の競合選挙区があると思います。現職優先という原則などもありますが、今後、どういった点を重視して調整し、いつまでに決着をつけたいかお考えを伺えればと思います。
- 基本線は現職優先、そして地元県連の声をよく聞くと。その上で、しっかりと勝ち抜ける候補はどちらかということ等々、総合的に選対委員会と幹事長室で調整して決めたいと思います。時間がないので急ぎたいと思います。
- 共同通信です。昨日、第100代首相に岸田首相が選ばれました。岸田政権にどのような政権運営を期待するか、また衆院選に関してですけれども、10月19日公示、31日投開票の日程が示されましたが、選挙戦を岸田政権としてどのように進めるか、その2点をお願いします。
- まず、総裁が選挙日程を、ぎりぎりの出来るだけ任期内をはみ出ないところで決定をされました。野党が主張されている憲法の趣旨に沿って、基本的にはその任期内、あるいは、出るとしても出来るだけ短くというお話に応えたのだと思いますし、おそらく早く、国民に自身の考えをお伝えして信を問うと、その上でしっかりと腰を据えて進めていきたいということだと思います。
岸田総理総裁がお考えであることは、世の中が分断化しているという不安を抱えておられる方が多くなっていると。富める者、富まざる者。分断化が進んでいると、これはもう世界的な傾向であって、コロナがそれを加速させていると。まず取り組むべきは一体的に国民が一つになれる国を作っていくということで、まず真っ先にコロナの不安を払しょくすると。ワクチンの体制、治療態勢、新薬・ワクチンの開発体制。危機管理全般の指揮命令系統をしっかりするいうことをまず行って、国民の不安を解消していくと。その上で分断化の大元になっている経済の在り方、これを成長とその分配の好循環という図式で捉えたいということで、まずもちろん成長しなければ分配はできないですけれども、その分配が次の成長を支えていくような設計をしたいということだと思います。これは、企業自身がその労働分配率、還元率を引き上げていくと。しかもその分配率を引き上げると同時に、その労働力のスキルアップ等をして、自社の能力を高めていくということに資源を投入すると。内部留保でただ額が積みあがっているのを見て、満足している企業経営では駄目だということだというふうに思います。
もちろんそういう中で、世界と戦う企業が、自社の製品サービスの差別化をしっかり図っていくと。そこにはイノベーションの視点がしっかり組み込まれていかなければならないと思いますし、新しい考え方としては、経済安全保障という視点で企業を守ると。どんなに素晴らしい技術を持っていても、サイバー攻撃で全部ノウハウが抜かれてしまっては何の意味もないということですから、企業にそういう意識を持たせる、あるいは社会全体で日本の経済安全保障の能力を高めていくと。このことは、自律性と不可欠性という二本の柱で、日本の弱点を見つけ出してカバーする政策。日本の伸ばせる強みを見つけ出して、それをドライブをかけていって、日本がいないと世界が立ちいかないという今度は強みにしていくと。そういう経済を作っていくと。新しい資本主義というのは、マルチステークホルダー、会社は株主のものという理念を変えていって、会社は社会の公器の果たす使命があるんだと、そういう意識を持っている会社に世界の投資が集まるような図式を作りたいということで、その先人に、日本がファーストペンギンになるという決意だと思います。
あわせて、社会保障というものは現役がお年寄りを支えるという図式から、もちろんそれがもう基本でありますけれども、全世代型で支えていって、払う方にきちんと返ってくるということの図式をしっかりしたいということであります。消費税を上げた際に、幼児教育から高等教育まで濃度の違いはありますけども、現役世代に返ってくるという設計をいたしました。そして岸田政権では、前政権が設計をした、私も議員連盟の会長としてお手伝いをしましたけれども、不妊治療の保険適応ということにもなっていくわけであります。社会保障が次第に支えている現役に還元をされると、それが次なるエネルギーにつまり、少子化というのは国家のエネルギーがどんどん小さくなるわけですから、還元が成長を支えるという図式になるわけであります。
さらには先ほど申しあげましたイノベーション、発想は常に日本であるんだけれども、ビジネスは負けていると。技術で勝ってビジネスで負けるというのが日本のお家芸と自虐的に言っていたわけでありますけれども、世界を先導している今のものは、発案は全部日本じゃないかと。どこに問題があるんだという根本的な問題で、その発案から社会実装までをスムーズにつなげていく設計図を作るということも課題であるわけであります。そうしたところに優秀な人材を、年齢世代を問わずに配置をいたしました。この姿を国民の皆さんにお見せをして共有をしたいということであります。
岸田総理は「聞く力」ということを強調されています。それは何を意味するかというと、今まで政府・政権は、発信力は強化をして発信をすると発信が独りよがりにならないためには、受信力をつけなきゃならないわけでありまして、聞く耳を持たないでは、その発信したものが受け入れられているか、あるいはもっと形を変えた方が良いのかということが聴取できませんから、聞く力というのは受信力も高めていくと。発信力と受信力を高めていくというのは何を意味するかというと、国民とのコミュニケーション能力を飛躍的に上げていくということを意味します。それは国民が期待するところと、政府が国民に対して提言をして、こういう方向で進んでいこうよということの双方向がしっかりと信頼関係で結ばれるということでありまして、それが団結をしていく。つまり物理的に分配を、量、質を変えて、中間層を増やしていって、安定化させると同時に発信受信を共有して、向かうべき方向に対して説得力をもたせると、信頼性をもたせるということを岸田内閣は狙っているんだと思っております。
- TBSです。経済安全保障についてなのですが、実際に担当大臣として小林鷹之議員が就任されましたけれども、今、仰ったように実際日本を取り巻く現状について何が問題か改めてお願いします。そして小林議員に何を期待しますか。そして3点目、今、野党の方で10時から幹事長のあっせん利得疑惑追及チームがヒアリングを行っていますが、改めてそれについてご見解を伺いたいと思います。
- 経済安全保障であります。これは私が数年前から必ずこういう時代が来るということを提唱しておりまして、現実にその時代が来たわけであります。先取をして、党の方にそういう組織をつくって既に政策を提言し、.経済安全保障の推進法というのが来年の通常国会に出るわけであります。その事務総長として活躍をしていた小林鷹之氏が閣僚に就任したわけであります。異例の抜擢と思われるかもしれませんけれども、最適任の抜擢ということだと思います。そして人事では、彼を支える副大臣には、その中で一緒にやったチームのメンバーを充てたいというふうに思っております。
経済安全保障ということは何かといいますと、国家の独立と生存と繁栄、これを経済という面から確保していくということです。そのための手段として2本の柱、自律性と不可欠性を戦略的に構築していくというわけであります。自律性は、サプライチェーンの問題でも不安を与えたように、ハイテク製品でなくてもローテクでも、エッセンシャルワーカーが必要とするもの、例えば医療用の手袋とかガウンとかあるいはマスクとか、コスト的には日本で生産することが全く見合わないものについて供給が途絶えると、医療が崩壊し日本を崩壊させる。逆に言えば、そこをチョークポイントとして握っている国があれば、日本の自律性を簡単に脅かすことが出来るということであります。ですから、日本の必要なサプライチェーンとかあるいは基幹インフラについてどういう弱点があるかということを洗い出して、それを補完していくことであります。日本で全部作るなんてことはありません。コストが合わないものを常時つくっておく意味はないわけでありますから、供給するサプライチェーンを、よりリスクの低い国と連携をするとか、あるいは一定量は備蓄をするとか、まさかのときに対応が出来るような仕組みにしておくということであります。
インフラについてはインフラに色々なサイバーアタックも含めて、された場合にどういう防御が出来るかということで、インフラが止まりますと日本は息の根が止まるわけであります。それを全部洗い出して弱点をカバーする、対応するということが自律性です。
不可欠性は、その逆でありまして日本が持っている例えば資源国であれば、レアアースやレアメタルを握っていれば、それ自身が不可欠性、あそこの国と事を構えるとそれを止められると、もうギブアップだなというチョークポイントを握られる、チョークポイントを握るっていうことが不可欠性ですけれども、日本はそういうものはないですけれども技術がありますから、どこも持っていないような、そしてこれがないと困るね、これがあればうんと力が増すねという技術を、日本があるいは日本だけが握っているということは、下手に日本と事を起こすとそれを止められたら、うちはギブアップだなというそういう点を経済面で持つということです。
あわせてサイバーセキュリティということが非常に重要になってきています。機密技術で戦略的不可欠性は持っているぞといっても、簡単に盗まれてしまっては、ほぼ意味がないわけですから、それを防御できる体制等々をこれからの国家の存続をかけた部分を経済安全保障で担っていくと、それの責任者を小林鷹之大臣が引き受けるということであります。
それから私の6年前の問題であります。6年前、今も思い起こすと、本当に残念な思いがいたしますし、大変お騒がせしたことをお詫びしたいと思っております。ただ、ほとんどご理解いただいていないのは、私が大臣を辞任したのは、ことの事態の中心にあった、地元ですから目が届かなかったという点もありますけれども、その秘書の監督が出来なかったと、やっぱり監督責任者は私でありますから、お騒がせしたことに対して、私が辞任して責任をとったということであります。
それからこの事件は検察、強制権限をもっている最強の捜査部隊であります検察が捜査して、数カ月捜査をいたしまして、ありとあらゆる資料も提出しました。多分その当事者の通帳等々まで全部あるのだと思います。その上で何カ月かの捜査を尽くして検察当局が、不起訴としたわけです。そして、それに不服をした市民団体が告発をして、民間人からなるアトランダムに選ばれますから、どういう考え方をもった人が選ばれるかもわからないわけであり、誰も把握していないと思いますけれども、その人たちがやはり再調査を全てしたわけであります。その結果、検察と全く同じ結論を出して、検査でも検察審査会でも起訴の必要性がないということを判断しました。当事者の主張については一部、私の判断とは違う部分がありましたから、検察はその秘書のその部分について再捜査をしました。その結果、やはり不起訴ということになったわけであります。
この事件といいますか、事案は極めて珍しいと思いますけれども、関係者が誰一人刑事訴追をされていないという事件で終わったわけであります。私はURに関わる事情というのを全く知らされておりませんでした。だから本当に何が起きたのかが分からないというところから、スタートしたわけであります。それにしても、監督責任は最終的には私が持たなければならないということで辞任をさせていただいたわけであります。説明責任につきましては申し上げましたように、大臣辞任会見のときまで少し時間をいただきまして、特捜OBの弁護士さんにお願いして、短い時間、確か10日か2週間ぐらいだったと思いますが、調べられる限り調べてほしいということで、調べた結果を報告いたしました。私自身のことについては、私以上に知っている人はいないわけですから、ありとあらゆる質問にお答えをしました。質問が尽きるまでお答えしました。ただ、秘書の分についてはその当時、調べられることは調べ終わったわけでありますけれども、もし調査が足りない部分があるのであれば引き続き調査をして、会見等で発表する機会を持ちたいということでお話をしたわけであります。
全てが終わりまして、その秘書の部分の検察での再捜査が行われたわけでありますけれども、依頼をしました特捜OBの方にもその部分を調査していただきました。もちろん強制権限を持っているところ以上に、なんか分かるということはありえないわけでありまして、弁護士さんのその部分も9月の会見でお話をさせていただきました。そこで資料を配りました。何か一部の週刊誌が資料は回ってない、会見の時には俺もいたけれどもみたいな話がありましたけれども、その時の話ではなくて、その時には全て質問にお答えしたということでありまして、調査しきれない部分があるかもしれない秘書の部分について9月に発表して、その概要については間違いなくお配りをしているわけであります。
その後、書面による質問はお受けしますということで、その後、書面の質問をお受けしてお答えをいたしました。私としては、説明責任も含めてですね、責務を果たし終えたと考えております。またその、色々な週刊誌とか野党さんから、同じ質問が来て、同じ書類をまた出しているのです。同じことを繰り返してやっているということなのであります。
- 時事通信です。候補者調整についてお伺いします。二階前幹事長は、党本部の決定に従わない候補者は、除名を含む処分も辞さないということを言われていたのですが、甘利幹事長もその方針は同じでしょうか。あと、比例代表の73歳定年制については、どのようなスタンスでしょうか。
- とにかく共倒れをしないで、きちんと候補者を絞って、小選挙区ですから一人しか当選しませんから、当選させるっていうのが幹事長・選対委員長の使命だと思います。そこに向かって総合的に判断をします。100対0ってことは当然ないわけであります。60対40ということにもなりますよね。だから、当然わかりましたクリアカットで良かったですねということはあり得ないわけでありまして、必ず不満が残る。しかしそれでもやっぱり、一本化していくというための努力と、それから効力を発揮させるいうことが執行部の役割であります。前幹事長がお話をされたのが、どこまでを指すのかは別としまして、党本部でできる影響力を最大行使して一本化をして、とにかく勝たせるというふうに持っていきたいと思っております。 73歳定年制については、基本原則はそうだと思います。もちろん総裁が最終的に判断されることですけれども、それが基本原則です。ただ一律ではなくて、特殊事情を抱えてるところはあるかもしれません。例えば、向こうが、野党側が特別な候補者で誰がやっても勝てないと。だけどもチャレンジしていると。もう箸にも棒にもかからないチャレンジは別として、かなり健闘して毎回その努力が実りつつあるみたいなところは、これは例えば比例の話ですけれども、認めなければならないと。同様に、ここはどうしても出手がなくて、この人はこの選挙区の環境下では一番適していると、どうしてもこの人でないと困るというような地域事業があるというのは、どこまで考慮するかということはありますけれども、基本原則はその通りですが、全く考慮点がゼロということではないということだと思います。最終的には総裁と相談をして結論を出したいと思います。
- 西日本新聞です。麻生副総裁について伺います。党内手続きを進めるということですが、今日中に正式に就任するのでしょうか。幹事長として、麻生氏にどういった役割を期待しますか。
- 一応内定ですが、何事も意思決定機関は総務会ですから、総務会で決定して正式になります。おそらく、私の推測をあまり言ってしまうとバイアスがかかってしまいますからどうかなと思うのですが、岸田総理は、まさに自分の色で内閣を全部染められたわけです。ただ副総裁には、大所高所から党の方で岸田総理が内閣としてどうしても進めていきたいっていうことで、党で不協和音があるけれども、これは説得して抑えてもらいたいという場面が出てくるんだと思います。そういうときに副総裁にお出ましをいただいて、ご老公様には、たまには出ていただいて頼りない幹事長を助けていただきたいと思います。