東日本大震災から13年を迎えて

令和6年3月11日

はじめに

東日本大震災から13年が経過しました。被災者・自治体・国民の皆様と自由民主党は心を共にして、これまで経験したこともない災害に立ち向かい、復旧・復興に取り組んだ結果、その成果は形となってきました。この災難を通して、次の世代に安全安心な日本を築いていくのが我々の使命です。

能登半島地震

本年1月1日には能登半島地震が発生し、多くの方々が犠牲になられました。地震で亡くなられた方への深い哀悼の意を捧げます。与党の一員として、被災者の方々に一日も早く平穏な生活が戻るよう、復旧・復興に向けて被災者の方々に寄り添って取り組んでまいります。

能登半島は、人口減少や高齢化率等、東日本大震災の被災地とも共通する課題を抱える地域です。能登半島地震の被災自治体には、東日本大震災の被災自治体からも、数多くの応援職員が派遣されています。東日本大震災からの復旧・復興の経験を活かし、全国からの支援に報いる時でもあり、東日本大震災におけるノウハウや教訓も活かし、支援を行ってまいります。

福島国際研究教育機構(F-REI)

東日本大震災の発災から13年が経過し、震災からの復興は着実に進んでいる一方で、原子力事故災害被災地域は未だに厳しい状況にあります。しかしながら、これまで与党からの提言を受けて始まった取組みの成果が徐々に出始めています。

昨年4月、数次にわたる与党提言を踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の具現化を進めるための中核的な存在である福島国際研究教育機構(F-REI)が創設されました。原子力事故災害の被害を最も大きく受けた福島が復興を果たすために不可欠な中長期的な課題や日本や世界の抱える課題の解決に資するような研究開発と、その産業化・社会実装、そして人材育成・確保等に取り組むことがF-REIの使命です。

特定帰還居住区域制度創設

6月には、福島復興再生特別措置法を改正し、自宅に帰りたいという住民の方々の願いを実現するため、特定帰還居住区域制度を創設しました。9月の大熊町、双葉町の特定帰還居住区域復興再生計画の認定を皮切りに、順次計画が認定されてきています。2020年代をかけて、住民の方々の帰還が実現するよう、まずは全力で特定帰還居住区域の避難指示解除に向けた取組みを進めていかなければなりません。そのうえで、その先の将来的な全域の避難指示解除も見据えた道筋を今後、検討します。

ALPS処理水の海洋放出

また8月には、ALPS処理水の海洋放出が開始されました。これまでのところ、一部の国・地域による輸入規制の強化の影響で、一部の魚種については価格の低下が起きていますが、こうしたものを除き、現時点で魚価の大幅な低下など大きな風評影響を防げています。しかしALPS処理水の海洋放出は始まったばかりです。一瞬の緩みによってこれまでの取組みが大きく崩れる可能性があることから、引き続き緊張感をもって、万全を尽くしていく必要があります。

本年2月7日には、東京電力福島第一原子力発電所において、配管から放射性物質を含む水が漏洩する事態が発生しました。今後長きにわたり、廃炉やALPS処理水の処分を実施していく必要があることからも、こうした事態を二度と起こさないという覚悟をもって、再発防止に全力で取り組むよう、東京電力に求めます。

今後の取組み

長期的で困難な課題にもこれまで以上に力を入れて取り組んでいく必要があります。そのうちの一つが、中間貯蔵施設に貯蔵されている、除去土壌等の県外最終処分です。法律上約束された期限までに残された時間は長くはありません。このため、最終処分地の選定等の具体的な方針・工程を速やかに明示し、県民および国民の目に見える形で取組みを進めることが重要です。

地震・津波被災地域においては、インフラなどハード面での復興はおおむね完了した一方、心のケア等の被災者支援や、人口減少等の全国に共通する課題に引き続き国および被災地方公共団体が協力して取り組み、持続可能で活力ある地域社会の創生に向けた道筋を確立する必要があります。

第2期復興・創生期間も、残すところあと2年となりました。2021年3月に閣議決定された現行の復興の基本方針において、地震・津波被災地域については、復興事業がその役割を全うすることを目指すとされ、原子力事故災害被災地域については、当面10年間は本格的な復興・再生に向けた取組みを行うこととされています。復興の状況を把握し、残る期間も事業を着実に実施していくとともに、これまでの取組みの成果や今後の課題も整理・検証し、第2期復興・創生期間後の復興施策全体のあり方も視野に入れて検討します。

今後取り組んでいかなければならないのは、ひときわ困難な課題ばかりでありますが、被災地に寄り添いながら、その解決に向けて、政府・与党が一丸となって取り組んでまいります。