機関紙「自由民主」2959号より
新経済対策が閣議決定
2021年11月24日
「一刻も早く国民に届ける」
政府は11月19日、新たな経済対策を閣議決定した。岸田文雄総裁は衆院総選挙を通じて、「大型の経済対策を11月中旬に策定し、一刻も早く国民に届ける」と訴えてきた。わが党は同15日と17日に開かれた政調全体会議で経済対策を討議し、数多くの議論を反映させた。政府与党では速やかに補正予算を編成するなど、スピード感を持って経済対策を実行する方針だ。【経済対策のポイントは別掲】
政調全体会議では出席議員が2日間通算で約5時間にわたり経済対策を議論し、数多くの意見を反映させた(11月17日、党本部)
経済対策は新型コロナウイルス感染症の困難を乗り越え、ポストコロナの未来を切り拓くことで、国民に安心と希望を届けるのが狙いだ。財政支出の規模は過去最大の55.7兆円程度で、民間の投資分なども含めた事業規模は78.9兆円程度。
経済対策には住民税非課税世帯と困窮学生への現金10万円給付や、売り上げが減った事業者への最大250万円の給付が盛り込まれた。国民により早く届く支援を行うため、高校3年生までの子供への10万円相当給付については、世帯主年収に応じた所得制限を設けている「児童手当」の仕組みを活用し、世帯主年収960万円未満の世帯を対象として年内にプッシュ型で現金5万円の支給を開始する。残りの5万円は子育て関連に使途を限定したクーポンで来春までに支給する。
成長と分配の好循環に向け、保育士や幼稚園教諭、介護・障害福祉職員の収入を3%程度(月額9千円)、病院の看護職員の収入を1%程度(月額4千円)、来年2月からそれぞれ引き上げる。看護職員は段階的に収入を3%程度まで引き上げる方針だ。
その他にも新型コロナウイルスの医療提供体制確保やワクチン・治療薬・半導体の国内製造拠点整備、原油高騰対策などを列記したほか、「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、政策を総動員する姿勢を明確にしている。
わが党は経済対策の裏付けとなる令和3年度補正予算の年内成立に全力を挙げる。
コロナ克服・新時代開拓のための経済対策のポイント
財政支出:55.7兆円 事業規模:78.9兆円
GDP下支え・押し上げ効果:5.6%
新型コロナウイルス感染症の拡大防止
- ●医療提供体制強化やワクチン接種促進、検査環境整備、治療薬確保
- ●売り上げが減少した事業者に最大250万円支給
- ●住民税非課税世帯と困窮学生に現金10万円給付
- ●雇用調整助成金の特例措置を来年3月まで延長
- ●エネルギー価格高騰への対応
など
「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え
- ●より安全・安心なGo To キャンペーン事業の実施
- ●ワクチン・治療薬の国内開発
など
未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動
- ●10兆円規模大学ファンドの今年度内実現
- ●デジタル田園都市国家構想の推進
- ●「マイナポイント」最大2万円相当付与
- ●経済安全保障強化へ先端重要技術の実用化支援
- ●賃上げを行う企業への税制支援抜本強化
- ●看護・介護・保育・幼児教育など現場で働く人々の収入引き上げ
- ●高校3年生までの子供に10万円相当給付
など
防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保
- ●「5か年加速化対策」に基づく流域治水対策
- ●東日本大震災など自然災害からの復旧・復興の加速
- ●変化する国際情勢に迅速対応し安全保障確保
など
拉致問題の早期解決を
「私の手で必ず解決しなければならない」と力強く決意表明する岸田文雄総理
北朝鮮による拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会が11月13日、開かれた。
集会は拉致被害者家族連絡会と拉致問題に取り組む「救う会」や超党派の拉致議連などが開いたもので約800人が参加。閣僚や各党議員らが解決に向けた決意を表明した。(2面に発言要旨)
拉致問題を内閣の最重要課題に掲げる岸田文雄総理は「被害者のご家族も高齢となる中、解決には一刻の猶予もない。私の手で必ず解決しなければならない」と表明。解決のためには国際社会の理解と協力を得るとともに、金正恩委員長との関係構築が重要との考えを示した上で、「自らが先頭に立ち、政府を挙げて全力で取り組んでいく」と述べた。
また、松野博一拉致問題担当大臣は「国民の皆さまに強い意志を示していただくことは力強い後押しとなる」として、国内外の啓発強化などに努める方針を示した。
わが党議員からは、山谷えり子党北朝鮮による拉致問題対策本部長と古屋圭司拉致議連会長があいさつし、政府と緊密に連携を図りながら解決に向けた活動を強化していくと訴えた。
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