機関紙「自由民主」2928号より
北朝鮮に毅然とした対応を
2021年4月6日
独自経済制裁延長を了承
党外交部会(部会長・佐藤正久参院議員)、経済産業部会(部会長・佐藤ゆかり衆院議員)、国土交通部会(部会長・平口洋衆院議員)、外交調査会(会長・衛藤征士郎衆院議員)、北朝鮮による拉致問題対策本部(本部長・山谷えり子参院議員)は3月30日、北朝鮮に対するわが国独自の経済制裁措置を2年間延長することを了承した。政府・与党は「対話と圧力」の基本姿勢で拉致・核・ミサイル問題の解決に全力を挙げる。
山谷えり子党北朝鮮による拉致問題対策本部長は菅義偉総理の訪米に言及。拉致問題解決の第一歩になると期待感を示した
了承したのは、4月13日で期限を迎える特定船舶の入港禁止と北朝鮮に対する輸出入全面禁止の2つの措置。入港と輸入禁止措置はこれまでに12回、輸出禁止措置はこれまでに7回延長した。
延長の理由について國場幸之助外務大臣政務官は「安保理決議は全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を求めているが実現に至っていない。拉致問題も全ての拉致被害者の帰国を強く求めてきているが解決に至っていない」と説明した。
これまでわが党は問題解決に向けて累次にわたって政府に提言を申し入れたほか、精力的に議員外交を展開するなどしてきたが、この日の会合でも「引き続き毅然とした姿勢を示すことが大事だ」(佐藤ゆかり部会長)、「実効性を伴うようしっかり取り組んでいく」(平口部会長)、「何としても拉致問題を解決しなければならない」(衛藤会長)、「圧力をかけ続け、抜け穴を許さない」(山谷本部長)と相次いで決意表明。党一丸で問題解決に取り組むことをあらためて確認した。
拉致・核・ミサイルのうち、菅内閣が最重要課題に位置付けているのが拉致問題だ。
菅義偉総理は1月の施政方針演説でも「私自らが先頭に立ち、米国を含む関係国と緊密に連携しつつ、全力を尽くす。金正恩委員長と条件を付けずに直接向き合う決意に変わりはない」と述べ、問題解決に並々ならぬ決意を表明した。
3月25日朝、約1年ぶりに弾道ミサイルを2発発射し、国際社会の批判の目が北朝鮮に向けられる中、菅総理とバイデン米大統領による首脳会談の開催は米国から全面的な協力を取り付ける格好のチャンスである。
先月の日米外相会談でブリンケン米国務長官は「日本の主権、日本人の生命と安全にとり極めて重要な問題である」と明言。日本メディアによるインタビューでも北朝鮮との交渉で拉致問題を取り上げる意向を示した。
こうした状況を受け、北朝鮮による拉致問題対策本部は4月1日、首脳会談において米国から全面的な協力を取り付けることなどを求める決議を取りまとめ、翌2日、政府に申し入れた。
寄 稿
北朝鮮への経済制裁延長に賛成する
拉致解決のためになすべきこと
麗澤大学客員教授・「救う会」会長
西岡 力
重大な人権侵害であり主権侵害である拉致問題が未解決であるのだから制裁延長は当然である。
では、なぜ問題解決がここまで長くかかっているのか。横田めぐみさんら8人が2002年に「死亡」とされた理由が秘密をたくさん知っていたからではないか。拉致被害者は工作機関の内情や金正恩一家の私生活という秘密を知っている。
私たち、家族会・救う会が、「全拉致被害者の即時一括帰国が実現すれば帰国した拉致被害者から秘密を聞き出して日朝国交正常化に反対しない」と発信している理由は、金委員長への決断を迫るためだ。
拉致被害者を返す権限は金委員長が持っている。それ以外の人間は意見を言うこともできない(ただし、金与正副部長は対外関係を統括しているので拉致についても意見を言うことはできるようだ)。
圧力(制裁)を維持しつつ、菅義偉総理が拉致問題に関する権限を持つただ1人の人物である金委員長と談判して、全拉致被害者の即時一括帰国を迫る、という現在の日本政府の戦略以外に解決への道はない。
米国へは、①「全拉致被害者の即時一括帰国」実現前に制裁を緩めないこと、②日朝首脳会談実現への支援――の2つを求めるのが望ましい。日米首脳会談では、ぜひ、この2点を求めて欲しい。家族会・救う会は先日来日したブリンケン国務長官に書簡を伝達して同じことをお願いした。
ただし、日朝首脳会談が実現しても、真実がすぐ出てこない確率が高い。北朝鮮の工作機関である統一戦線部が8人死亡説を堅持した新たな報告を準備していることは間違いない。
わが国がなすべきことは、日朝首脳会談実現のために努力しつつ、来たるべき首脳会談に備えて生存情報、生存証拠、所在情報を最大限確保することだ。統一戦線部はわが国が持つ生存情報を必死で探っていよう。だから、わが国が持つ拉致被害者に関する情報を絶対に漏らさないことが肝要である。
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