月刊誌「りぶる」特集 9月号より
現在、マイナンバーカードの署名・認証機能はAndroidのスマートフォンに搭載できるようになっています。
さらに来年春には、属性証明機能※1も含め、iPhoneに搭載できるよう取り組みが進んでいます。
デジタルの力でますます便利になるマイナンバー制度について、党デジタル社会推進本部の平将明本部長代理に伺いました。
―マイナンバー制度とは何なのか、改めて教えてください。
平将明党デジタル社会推進本部長代理(以下、敬称略)マイナンバー制度は、便利で暮らしやすい社会づくりのために生まれました。
その目的は、行政の効率化と国民の利便性の向上を図り、税金や年金の負担を公平・公正にすることにあります。平成28(2016)年1月に運用が始まってから、例えば年金や医療、介護などの行政手続きがスムーズに、かつスピーディーになったことを実感されている人も多いのではないでしょうか。
―マイナンバーと、マイナンバーカードの違いを教えてください。
平マイナンバーは、住民票のある全ての人に割り振られた12桁の個人番号です。現在、個人の情報は複数の行政機関で保有されていますが、それが同一であること等を確認するために活用しています。その利用範囲は社会保障・税・災害対策分野でしたが、令和5(2023)年6月から、それ以外の行政事務においてもマイナンバーの利用促進を図っています。番号が漏えいし、不正に使われる恐れがある場合を除き、マイナンバーは一生変わりません。
一方、マイナンバーカードは、本人の申請に基づき、市区町村長が厳格な本人確認を行った上で交付されるものです。カード表面には、氏名、住所、性別※2、生年月日とともに顔写真が印刷され、公的な身分証として利用できます。裏面には、12桁のマイナンバーが記載され、ICチップが内蔵されています。
―そもそもマイナンバーカードは、なぜ必要なのですか。
平“私が私であることを証明”するのに最適だからです。マイナンバーの提示と本人確認が同時に必要な場面では、唯一“これ1枚で手続きを完了できる”便利なカードです。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大した時、私たちは不要不急の外出を控え、オンラインで行政機関の各種手続きを行い、ワクチン接種の証明書アプリ等を利用しました。それを成し得たのは、内蔵されたICチップを使って「公的個人認証サービス」が受けられるマイナンバーカードがあったからです。
今は新型コロナウイルスの感染状況は落ち着いていますが、感染力の強い変異株や新しいウイルスによるパンデミック(世界的流行)が、いつ起こってもおかしくありません。次の感染症危機への備えとして、マイナンバーカードは必要です。
―公的個人認証サービスとは何ですか。
平法律※3で規定された公的な認証サービスです。オンライン化が進み、さまざまな手続きがインターネットを通じて手軽にできるようになりました。しかし、誰もが安心してオンライン手続きを行うには、 他人を装って虚偽の申請を行う“なりすまし”や、送信されたデータを第三者が書き換える“改ざん”などへの対策が必要です。
公的個人認証サービスは、こうした行為を防ぎ、インターネットを通じて安全・確実な手続きを行うための機能を「電子証明書」という形で提供しています。
人口減少に伴う人手不足が懸念される中、わが国はインターネットやICTを活用するデジタル・ガバメント(電子政府)の取り組みを進めています。かゆいところに手が届く行政サービスを、少ない人的リソースと財源で行うには、デジタルの力が不可欠だからです。
現在、さまざまな社会課題を解決するため、多くの分野においてデジタル化の取り組みが加速しています。“私が私であることを証明”できるマイナンバーカードは、デジタル社会を実現するための必須アイテムと言えるのです。
―マイナンバーカードでできることを教えてください。
平例えば、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」として利用できたり、簡単に確定申告ができたり、行政機関の各種手続きに活用できます。また、コンビニで住民票の写し等の公的証明書が取得できるなど、対面でもオンラインでも、できることが広がっています(資料1参照)。
マイナ保険証の申し込みは、マイナポータルなどで行います。※4マイナポータルは、政府が運営する行政手続きのオンライン窓口。自宅のパソコンやスマートフォンでマイナ保険証のオンライン申請以外にも、子育てや介護をはじめとする行政サービスの検索や、行政からのお知らせを受け取ることができる自分専用サイトです。一部の機能の利用にはマイナンバーカードは不要ですが、 マイナンバーカードでログインすれば全ての機能の利用が可能です。
―マイナ保険証について教えてください。
平今年の12月2日から現行の健康保険証は発行されなくなり、医療機関等の受診はマイナ保険証を基本とした仕組みに変わります。マイナ保険証への移行は、デジタル化によって効率化を図ることで各種手続きを簡単、便利に変革していく「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の一環です。
紙の健康保険証は写真が付いていないので、他人になりすまして受診したり、高額の薬をインターネットで転売したりする人がいます。また、医療機関側は手作業でアナログ処理をするため、誤記や二重請求などのミスによる差し戻しが年間約500万件も起こっていました。これらの課題を一気に解決し、医療機関の生産性を高められるのがマイナ保険証です。
一時期、同姓同名などにより、別人の情報が誤って登録される運用トラブルが9200件ほど発覚しましたが、厚生労働省は点検作業と再発防止に全力で取り組み、着実に改善されています。
―マイナ保険証で受診するメリットは何ですか。
平大きく二つのメリットがあり、マイナ保険証への円滑な移行に期待しています。一つは、より良い医療が受けられることです。医療機関を受診した際、薬や特定健診の情報提供に同意することで、自身の健康・医療データを医師と共有できるため、総合的な診断や、重複する投薬を回避した適切な処方を受けることができます。
もう一つは、各種手続きが便利で、簡単になることです。例えば、医療費が高額な場合に申請する「限度額適用認定証」が不要になる他、医療費控除の確定申告がスムーズにできるようになります。
今年の12月2日時点で有効な健康保険証は、資格を喪失しなければ最大で令和7(2025)年12月1日まで使用できます。また、健康保険証の廃止後、マイナ保険証を保有していない人には「資格確認書」が交付されることになっています。
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