月刊誌「りぶる」特集 5月号より
4月1日、こどもに関する取り組みや政策の幅広い分野を受け持つ「こども家庭庁」が始動。その創設の狙いや役割、具体的な取り組みなどについて、小倉將信こども政策担当大臣に伺いました。
―今なぜ「こども家庭庁」を創設するのですか。
小倉深刻な現状への危機感からです。日本では少子化が急速に進み、昨年の出生数は統計を開始して初めて80万人を下回りました。
また、こどもを取り巻く環境が悪化しています。例えば、昨年の小中高生の自殺者は514人。これも統計開始以来、最悪の数字となりました。さらに児童虐待や貧困、いじめ、不登校の報告件数も増えてきています。
こうした状況を踏まえ、こどもたちが自分らしく健やかに、幸せに成長できる社会をつくるために創設されるのが「こども家庭庁」です。4月1日には、こどもや若者に関する取り組みを進めていくための「こども基本法」が施行され、こどもを主役にした「こどもまんなか社会」の実現を目指していきます。
―「こどもまんなか社会」について、教えてください。
小倉国連で採択された「児童の権利に関する条約」には、世界中のこどもたちが持つ権利が定められています。その条約の原則の一つである“こどもにとって最も良いこと”を第一に考え、こどもに関する取り組みや政策を日本社会の真ん中に据えていきます。
―こども家庭庁は、具体的にどのような役割を担いますか。
小倉一つは、これまで各省庁がバラバラに行ってきたこども政策の縦割り構造を打破し、こども政策の多様な課題に横断的に取り組む司令塔としての機能を担います。
例えば、いじめ問題は、必ずしも学校だけで解決できるとは限りません。文部科学省や自治体、地域など、さまざまな人が関わる中で、こども家庭庁が強力なリーダーシップを発揮していきたいと考えています。
もう一つは、こどもや若者の声をしっかりと聴くことです。先ほど述べました「児童の権利に関する条約」の第12条には、自由にこどもの意見を表明する権利が規定されています。
こども家庭庁は、常にこどもや若者の視点に立って皆さんのご意見を聴き、“こども扱い”せずにしっかりと向き合ってまいります。
―こどもや若者の声は、どのように聴いていきますか。
小倉今後インターネットなどを通じ、1万人規模で、こどもや若者のご意見を聴く「こども若者★いけんぷらす」の事業(登録制)を開始する予定です。
その「ぷらすメンバー」の受け付けを現在、こども家庭庁のホームページで行っています。小学1年生からおおむね20代の人であれば、誰でもいつでも登録することができます。
寄せられたご意見は、こども家庭庁をはじめ、各省庁が政策を議論する会議の資料にする他、実際に何が実現されて、何が実現できなかったのか、実現できなかった理由は何だったのかなどを、しっかりとフィードバックしていく予定です。この大胆なチャレンジに少しでも興味を持った人は、ぜひご登録いただきたいと思います。
他にも、オンラインの対面、ウェブアンケート、SNSなどでもご意見を募集し、より多くの声を聴いて、こどもや若者に関わる制度や政策を良くすることにつなげていきます。
―インターネット以外に、意見を伝える方法はありますか。
小倉はい。例えば、霞が関ビルディングのこども家庭庁の庁舎の中に「こどもまんなか広場」を設置するなど、こどもたちが気軽に声を出せる雰囲気づくりにも努めていきます。
しかしながら、困難な状況にいるこどもほど声を上げにくかったり、相談できることを知らなかったりします。皆さまからの声を待つだけでなく、場合によってはわれわれが施設や児童館などに出向いて、こどもや若者の声を聴き、誰一人取り残されることのないように配慮していきます。
私の地元である東京都町田市では、こども家庭庁に先駆けて、こどもたちの意見表明プロジェクトが始動し、こどもたちに児童館の運営を任せたり、高校生が町田市の事業評価をしたりしています。こうした取り組みも広く発信していくことで、こどもや若者からご意見を聴くことの大切さについての理解が深まればうれしいです。そして、多くの自治体が、それぞれの地域の特性に合わせた形で、こどもや若者のご意見を聴く体制を確立していただければと思います。
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