月刊誌「りぶる」特集 3月号より
未来につながる、まちづくりへの挑戦を続けるオホーツクエリア。
網走市、紋別市、遠軽町の魅力と、サステナブルな取り組みに奔走する人たちを紹介します。
上野本日は、北海道第12区の武部新衆議院議員にオホーツクエリアの魅力や未来像を、また水谷洋一網走市長には持続可能なまちづくりについてお聞きしたいと思います。
網走市では、どのようなサステナブルな取り組みをされていますか。
水谷木質バイオマス発電所の誘致・増設、そして太陽光発電を行う地域電力会社の二本柱で行っています。
網走には多くの森林があります。しかし十分に手入れができず、木を切った際に出る間伐材や根株が山に残ったまま。これが餌となり、ネズミ等が増える原因となっていました。そのため新たに植樹しても食べられてしまい、森が再生しません。そこで、間伐材や根株を使って電気を作ることができる木質バイオマス発電所を誘致。地域の未利用資源の活用ができる他、森の再生にもつながっています。発電所は現在1号機と2号機が稼働し、3号機を建設中です。
上野森の環境を改善しながら発電していく。まさに持続可能な取り組みですね。
武部森が再生すると山も再生され、川がきれいになります。流れ着く海もきれいになり、魚が川に帰ることで里が豊かになります。木質バイオマス発電が森、山、川、海、里の循環型社会の実現に貢献しています。
上野昨年4月、網走市と日本ガイシ株式会社が出資して「あばしり電力」が誕生しました。自治体が、太陽光発電を行う地域電力会社を設立した目的を教えてください。
水谷再生可能エネルギーで発電してカーボンニュートラル※を実現し、地球環境を守るためです。さらに、地域の災害時の備えとしての役割にも期待して設立しました。
あばしり電力は、活用していなかった市有地に太陽光パネルと大容量蓄電池を設置し、隣接する潮見小学校と潮見コミュニティーセンターまで自営線(自前の送電線)を引きます。災害時などで地域が停電になっても、自営線で電力を供給することができるので、2施設は避難所として良好な生活環境が確保できます。携帯電話の充電もでき、冬でも暖かく過ごせます。
武部平成30(2018)年の北海道胆振東部地震では、オホーツクエリアを含む北海道全域が停電に見舞われました。あばしり電力の特徴は、電気を売るだけではなく、地産地消している点にあります。災害時にも対応できるのが素晴らしいです。
水谷網走市が1000万円、日本ガイシが6000万円を出資して設備を建設中ですが、北海道から7000万円の補助金が出ました。事業を開始するのは今年4月なので、まだ1ワットも発電していませんが、すでに出資金を回収しています。さらに、全国の企業から「投資したい」との問い合わせが寄せられています。時代のニーズに合ったビジネスモデルを提示することで賛同する企業が出てきて、地域の経済が回るのだと実感しました。
武部この取り組みは学校教育にも相乗効果が期待されています。自営線をつなぐ潮見小学校はカーボンニュートラル先進モデル校として、再生可能エネルギー100パーセントの運営を目指しています。
水谷子供たちが「今日は何ワット発電できたか」などを体験できる環境教育も行っていく予定です。
あばしり電力の電気は、市内の公共施設などに使い、地産地消の電力を“見える化”することで地元の皆さまのサステナブル意識を高められたらと思っています。
武部あばしり電力がきっかけで、オホーツクエリアの子供たちのエコ意識向上につながるとうれしいです。
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