『りぶる』創刊40周年記念企画
河野太郎広報本部長
河野太郎広報本部長が、いま輝いている人と対談する連載企画。
今回のゲストは、台湾の蔡 英文総統です。
2016年に台湾初の女性総統に就任した蔡総統と、河野広報本部長がオンラインで対談しました。
河野本日のゲストは、台湾の蔡英文総統です。蔡総統の自伝が日本語に翻訳されていて、拝読いたしました。大変に面白かったです。
蔡ありがとうございます。私も河野広報本部長との対談を楽しみにしていました。お話できて、うれしいです
河野初めに、7月8日に亡くなった安倍晋三元総理について伺います。蔡総統は、安倍元総理の日台関係への貢献について、いかがお考えですか。
蔡安倍元総理が突然にご逝去されましたことに深い哀悼の意を表します。
安倍元総理は、台湾において最も知名度が高い日本の政治家でした。私の良き友人であり、台日関係向上に多大な貢献をされ、たくさんの台湾人が尊敬しています。
また、2016年に「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱するなど、先見の明がある、国際社会で一目置かれる政治リーダーでした。その手腕を発揮して2018年、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)を締結したことは台湾でも高く評価されています。
このように安倍元総理は、インド太平洋地域全体の平和と安定、そして発展のために尽力されてきました。
河野私は安倍内閣で外務大臣、防衛大臣などを務め、安倍外交の一翼を担いました。故人の遺志を受け継ぎ、自由で開かれたインド太平洋の実現に力を尽くす所存です。
そのためには多国間の経済協力に関する枠組みが重要となってきます。先ほど蔡総統が述べられましたCPTPPについて、台湾の早期加盟を自民党としても後押しできればと思っています。
蔡ロシアによるウクライナへの侵略が始まった時、安倍元総理は台湾の安全保障を大変気にかけてくださいました。国際社会に向けて「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事である」と発言され、いつも台湾のことを思い、台湾の国際参与も積極的に支援してくれました。 安倍元総理の後を受け継いだ菅義偉前総理、岸田文雄総理も台日関係を非常に大切にされ、両者の関係はここ数十年で最も良い状態にあることを実感しています。台湾に心を寄せてくださった安倍元総理の思いを忘れずに、これからも台湾と日本は手を合わせて協力し、両者の友好関係をさらに深化させていくことに努めます。
河野安倍元総理が亡くなった後、台湾の皆さまから本当にたくさんの弔意や感謝の言葉が寄せられ、そのことが日本でも報道されました。誠にありがとうございました。
河野台湾の地政学的な重要性については、どのように思われますか。
蔡軍事的緊張が続く台湾海峡の平和と安定は、東アジアだけでなく、インド太平洋地域の国々にとって非常に重要だと考えます。
7月26日、河野広報本部長は、台北市内で開かれた国際フォーラムにオンラインで出席し、インド太平洋地域の安全保障について言及されました。台湾有事の際、日本がどういった対応を選択するかは別として、河野広報本部長が「台湾が侵略を受ければ、日本は必ず影響を受ける」と発言された通りであります。世界経済への影響も計り知れません。
ご存じの方も多いと思いますが、台湾はハイテク製品の重要な生産拠点です。特に半導体産業は世界のサプライチェーン(供給網)において必要不可欠な役割を果たしています。台湾海峡は、東シナ海と南シナ海を結ぶ主要航路で、この海峡の平和と安定は、ハイテク製品の安定供給にも大きく関わってきます。
河野今のウクライナ情勢をどのように思いますか。また、台湾への潜在的な侵略リスクは高まっているとお考えですか。
蔡ロシアによるウクライナへの侵略行為は、世界の平和と安定の破壊につながり、国際社会にとって大きな脅威となっています。
ウクライナの状況は、台湾海峡に対してある程度の影響、そして参考になる部分があります。河野広報本部長からご質問のありました侵略リスクについては、民主主義国家の結束力にかかっていると考えます。一致団結して、権威主義体制の拡張とその脅威に対抗できるかどうかがポイントではないでしょうか。
台湾はこれからも民主主義を固く守り、自国の防衛能力向上に努めます。そして、私たちは理念を同じくする国々と意思疎通や交流を図りながら、台湾海峡をはじめとする、インド太平洋地域の平和と安定に注力してまいります。
河野台湾海峡とウクライナ情勢については、これからもしっかり考えていきますし、私は国際秩序に反する行為を行った国は、やはり厳しく罰せられるべきだと思います。
台湾総統
1956年生まれ。1984年ロンドン大学政治経済学院(The London School of Economics and Political Science, LSE)法学博士号取得。専攻は国際貿易法と競争法。
2004年に民主進歩党(以下、民進党)に入党。2006年に行政院副院長(副首相)に就任。2008年に第12代民進党主席(党首)に就任。2016年に民進党代表として第14回総統選挙に出馬、初当選し台湾史上初の女性総統となる。政治家庭の出身ではない女性総統はアジア初。
2020年の総統選で約817万票を得て再選。台湾の選挙史上で一番多い票数を得た政治家である。
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