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『りぶる』創刊40周年記念企画
河野太郎広報本部長

世界で活躍する
女性に聞く!

(左)河野太郎 広報本部長、(右)ゲスト 俳人 黛 まどかさん
(左)河野太郎 広報本部長、(右)ゲスト 俳人 黛 まどかさん

河野太郎広報本部長が、いま輝いている人と対談する連載企画。
今回のゲストは、俳人として国内外で活躍されている黛 まどかさんです。
自身も俳句をたしなむ河野広報本部長が、黛さんとオンラインで対談しました。

取材日:令和4(2022)年4月27日

さまざまな人の人生を変えてきた俳句
世界中で愛される花鳥諷詠の文学

河野黛さんはお父さまも俳人ですが、俳句を始めたのはいつごろですか。

だいぶ昔のことです(笑)。かつて銀行に勤めていた時、仕事帰りに立ち寄った書店で、たまたま杉田久女について書かれた小説に出合ったのがきっかけです。彼女は明治に生まれ、大正から昭和初期にかけて活躍した俳人。波瀾万丈の生涯を知るうちに、人生までも変えてしまう俳句に興味を持ち始めました。
 俳句は“五七五”の世界一短い文学ですが、松尾芭蕉などの句には小説にも匹敵するような奥深さがあります。たった17音で広い世界を表現することができる俳句とは「何なのだろう?」と。
 日本文化は「引き算の文化」です。俳句は言葉を省略し、短くすることで、文字に表れない“余白”の部分にエッセンスが詰められています。その余白の豊かさに魅了され、俳句の世界に飛び込みました。

河野太郎 広報本部長

河野俳句は日本だけでなく、世界中にファンがいますね。

はい。俳句に影響を受けた表現者が国内外にたくさんいます。
 例えばジョン・レノンは、俳句に刺激を受けて短く簡潔な歌詞の「ラブ」などの名曲を生み出し、昭和46(1971)年にお忍びで来日した時のインタビューで「俳句は、今まで僕が読んだ中でも最も美しい詩だと思う」と答えています。短い言葉だからこそ、余白の部分が聞く人の想像力をかき立てると感じていたのでしょうね。
 また以前、外国の映画関係者が小津安二郎監督の作品について「小津映画には何もない、でも全てが詰まっている」と話されていたのが印象に残っています。小津監督は俳句を愛し、作句もする人でした。その影響が映画作品にも見られ、独自の余白の美を演出しています。

河野海外にも作句をする愛好家は多いです。日本語では五七五ですが、他の言語の場合はどんなルールがありますか。

以前は、ルールはあってないようなものでした。私は平成22(2010)年から1年間、文化庁の「文化交流使」としてヨーロッパで活動していました。当時、世界中で俳句が人気だったことから派遣され、実際にヨーロッパでは大きなブームになっていましたが、3行の詩を俳句と呼んでいたり、季語も入っていたりいなかったり…。本来の型が踏襲されず、ただ短いだけのポエムが俳句としてブームになっていたことに強い危機感を覚えました。
 「何とかしなければ」と、型の重要性を理解してもらえるよう頑張りましたが、1年間の活動ではなかなか状況は変わりませんでした。しかし、最近になってようやく、俳句本来の型が尊重されるようになってきました。型があるからこそ、余白が生まれ、広がりを持つ「型の自由」を理解し始めたのだと思います。
 俳句は言いたいことが型に収まらない時、取捨選択しなければならないので、その言葉選びに誰もが苦労しますが、それを乗り越えた先に喜びがあると、世界の人たちも気付き始めたのです。

俳人 黛 まどかさん

河野具体的には、どういう型にはめていくのですか。

私は、それぞれの国や言語に合った型を作っていいと思います。国によって咲いている花も飛んでいる鳥も違いますから、季語を日本の歳時記に合わせる必要はありません。各地域で新たな歳時記を作ればいいのです。俳句は花鳥諷詠の文学。つまり自然を詠む詩ですから、季語を入れることは必ず守ってほしいですね。
 それから、日本語には古来、心地良いリズムとして五七五があります。三四三でも二三二でもよいので、各言語の心地良い調べで作句を楽しんでいただければと思います。

黛 まどかさん

俳人
神奈川県生まれ。平成14(2002)年、句集『京都の恋』で山本健吉文学賞受賞。平成11(1999)年サンティアゴ巡礼道約800km、平成13(2001)年~平成14(2002)年釜山~ソウル約500km、平成29(2017)年四国遍路約1400kmを踏破。「歩いて詠む・歩いて書く」ことをライフワークとする。平成22(2010)年より1年間、文化庁「文化交流使」としてヨーロッパで活動。オペラの台本執筆、校歌の作詞、北里大学、昭和女子大学、京都橘大学の客員教授など多方面で活躍。株式会社ワコールホールディングス社外取締役。令和3(2021)年より「世界オンライン句会」を主宰。『暮らしの中の二十四節気 丁寧に生きてみる』『引き算の美学 もの言わぬ国の文化力』など著書多数。
公式ホームページ http://madoka575.co.jp

インタビューの続きはりぶる本誌でご覧ください

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