日本外交の「遺産」生かし国益を守れ
米大統領選挙が終わった。事前には「歴史的な接戦」と目されていたものの、ふたを開けてみれば意外にもトランプ前大統領の「安全勝ち」であった。「7つの激戦州」は、すべて共和党色である「赤」に染まった。ハリス副大統領の得票は一般投票数でもトランプ氏に及ばず、民主党としては20年ぶりの大敗になった。
今回の選挙結果がどんな民意を伝えているのかは、今後、長い時間をかけて検証されていくだろうが、現時点で言えるのは以下の3点である。(1)米大統領選挙の基本は現職大統領への信任投票である。ハリス氏はバイデン政権の不人気を払拭できず、バイデン氏との差別化もうまくいかなかった。(2)有権者の関心は経済問題にあり、「インフレ」と「不法移民問題」を訴えたトランプ氏に支持が集まった。逆に民主党による人工妊娠中絶問題や、「トランプ復活は民主主義の危機」等の社会問題への訴えは空回りした。(3)7月に急きょ出馬することになったハリス氏自身の準備不足。予備選プロセスを経験しておらず、以前の左派的な政策を中道寄りに変更したことも重荷になった。
思い起こせば2024年は、「選挙の年」と言われるほど多くの国で選挙が行われた。しかし韓国、インド、欧州連合(EU)、フランス、英国、そしてわが国の衆院選と、ほとんどが与党の敗北に帰している。
つまるところ...