自公両党で過半数に届かない厳しい結果に終わった衆院総選挙。政権復帰以来、初めてとなる逆風の中、野党候補との「一騎打ち」を戦い、小選挙区での勝利をつかんだ選挙区があります。機関紙「自由民主」では、今回の選挙戦で「一騎打ち」の構図を僅差で勝ち切った衆院議員に取材し、逆風の先にある実態を検証します。第1回は日本一広い面積を有する北海道12区。約7千票差で相手候補を振り切った武部新衆院議員が、厳しかった選挙戦を振り返ります。
5期目の当選を果たし北見市の選挙事務所で支援者にあいさつする武部新衆院議員
広大な選挙区で広げる難しさ
総面積が1万5千平方キロメートルを超える北海道12区。全国2番目の岩手県に匹敵する広大な選挙区で、解散から6日で公示を迎える短期決戦。選挙への備えは自ずと難しさを増しました。
武部新衆院議員 「選挙が近い」という備えをしていても、28市町村の後援会や地方議員と一体になって、私自身の声をいかに届けて、選挙戦への訴えを組み立てる作業にはどうしても時間が掛かります。「選挙モード」に入り切る前に、公示を迎えたという実感はありました。
選挙が始まっても、政治資金を巡る問題へのおわびと説明から入る選挙になってしまい、宣伝車上で受ける反応も、特に都市部ではこれまでの選挙に比べて弱いと肌で感じました。
12区では初めての一騎打ち。前回4万2千票以上の差をつけた武部氏にとって、「危機感」を選挙区全体に広げるために、武部氏はあえて「攻めの姿勢」を打ち出し、逆風を打開していきました。
武部 初めての一騎打ちでしたが、「武部さんは大丈夫でしょう」という人もいれば、「今の自民党には投票したくない」という人もいたように全体として政治に対して冷めていると感じました。これまで支持してくれていた人が、十分に動かず、投票行動に結びつけることが難しい選挙となりました。
選挙中の報道でも厳しい情勢が伝えられ、後半戦は「攻めの姿勢」を貫こうと決めました。相手候補は、「金権政治・世襲政治」への批判一色でした。われわれは「政治改革はやります。その上で、一番肝心なのは国民の暮らしであり、経済であり、産業だ。具体的に政策を示さない野党にこの地域の代表は任せられない。だから自民党・公明党の連立政権、武部新に任せてください」と、こちらから攻め返す選挙戦を進めました。
過去の結果からみると、今回も立憲・共産の票数を足せば大きく増えてはいません。われわれは投票率が下がったことで票を減らしましたが、そのなかで危機感が伝わり、勝利に届いたと思います。