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自由民主1面コラム「幸響」
上杉 謙太郎 広報本部新聞出版局次長

上杉 謙太郎 広報本部新聞出版局次長

戦没者遺骨鑑定体制

戦後79年。現在、戦没者遺骨収集事業は収集から鑑定まで、各国先端技術を用いて進められている▼遺骨の収集では、まるで考古学者が遺跡を発掘するかのような考古学的手法を用いる。鑑定では、まず生前どの地域で育ったかがわかる「安定同位体比分析」を行う。うなぎ等の、食品の産地分析技術といえば想像しやすいだろうか。これにより日本兵のみならず、米兵や現地人含めた遺骨の出身地を推定できる。次に、個人を特定するDNA鑑定。遺族からDNAを提供いただき、実際に日米とも遺族に遺骨を返還できた事例もある▼日本の鑑定技術は米韓と並ぶ最高水準だが、体制・設備等は両国に遠く及ばない。大規模な分析施設と人員を構え、米韓のそれは遺骨鑑定における世界基準となっている▼われわれには、未だ海外に眠る112万柱の遺骨がある。できれば全て収集し、せめて故郷の地でお眠りいただきたい。これは国家の責務である。戦後100年の節目までにこの事業を完遂すべく、国をあげて世界基準の体制を構築しなければならない。

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