わが国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増している中で、自衛隊が平時から有事までのあらゆる段階における活動をシームレスに実施できるよう、宇宙・サイバー・電磁波の領域と陸海空の領域を有機的に融合させつつ、統合運用により機動的・持続的な活動を行うことが不可欠です。こうした観点から自衛隊の「統合作戦司令部」新設等を盛り込んだ防衛省設置法改正が5月10日、参院本会議で可決、成立しました。
部隊を一元的に指揮
令和4年12月に策定された国家防衛戦略および防衛力整備計画では、統合運用の実効性を強化するため、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を創設することを盛り込んでいました。今般の改正を受けて防衛省は令和6年度中に統合作戦司令部を東京・市ヶ谷に新設します。発足当初の人員は約240人を予定しており、統合作戦司令官には、陸・海・空幕長と同格の階級「将」を配置します。
統合作戦司令部の新設によって、自衛隊の運用に関し、平素から部隊を一元的に指揮できるようになり、事態の状況や推移に応じた柔軟な防衛態勢をより一層迅速に構築することが可能となります。また、統合による作戦や同盟国・同志国の司令部との情報共有や、運用面での協力を一元化できるため、統合運用の実効性を向上する狙いがあります。
自衛隊と米軍の相互運用性を強化
本年4月の日米首脳会談においても、岸田文雄総理とバイデン米大統領は、米軍と自衛隊の相互運用性強化のため、それぞれの指揮・統制枠組みを向上させることを含め、安全保障・防衛協力を拡大・深化していくことで一致していました...