戦没者遺骨収集事業
戦後78年、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す今、外交防衛政策を議論する中で忘れてはならないのは、いまだ異国の地で眠るご遺骨のことである▼今年の通常国会で戦没者遺骨収集推進法改正案が衆参とも全会一致で可決成立した。海外戦没者概数240万柱のうち、いまだ海外に眠る数は約112万柱。ご遺骨があると特定できた場所は3300地区にのぼる(今年3月時点)。昭和27年から続く本事業も、現在は米国と協定を結び、収集鑑定の協力体制が進む。加えてDNA鑑定のほか安定同位体比分析等鑑定分析手法も進化。技術進歩により新たな課題も出てきたが、ご家族への返還等含め事業の深化と加速が急務である▼コロナも収束化し遺骨収集事業は再開した。できることなら全てのご遺骨にお帰りいただき、せめてこの地で安らかにお眠りいただきたいと切に願う。千鳥ヶ淵で手を合わせ、今生かされていることに感謝しながら、外交防衛政策と車の両輪で、本事業の推進に心を注いでいきたいとあらためて思う。