5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症となることが決定されたことを受け、党新型コロナウイルス等感染症対策本部(本部長・山際大志郎衆院議員)では、5類に変更されることによる影響をこれまで集中的に議論してきました。今回、その議論を踏まえ、5類移行が円滑に行われるように、そして移行時に必要となる対応等を提言として取りまとめました。今後、わが党は、政府が提言を踏まえた対策を行うことを全面的に支援していきます。
提言を取りまとめた2月27日の新型コロナウイルス等感染症対策本部
国民への感謝
今回の提言は、前文と12項目の本文によって構成されています。
前文では、医療関係者等のエッセンシャルワーカーの方々のたゆまぬ努力ならびに国民の感染症に対する意識の高さ等により、これまで新型コロナウイルス感染症による人口当たり累積感染者数が諸外国と比較して少なく、人口当たり累積死亡者数も2月23日時点で欧米諸国やアジア諸国を下回っていることに感謝を表しています。その上で今後5類感染症となることで想定される課題に対して、必要な対策を求めています。
地方財政への支援
総論として、これまで緊急包括支援交付金によって行われてきた各種措置を地方自治体が継続する際に新たな負担が生じないように配慮する等、政府に対して5類移行に伴い地方自治体に財政的な過重に負担が生じないように支援求めています。そして、一定の措置を継続する各種支援等のロードマップを示すよう要請しています。
患者等への支援
次に、他の疾患との公平性にも配慮しつつ新型コロナに罹患(りかん)した方の医療費や高額な薬代に対する、一定の公費支援を当面継続することや、発熱時や体調変化時の相談窓口を当面継続すること等、患者等への支援を一定期間継続することを求めています。
医療体制の維持
患者を診る医療体制についても、5類に移行後も感染は継続していくことが想定されるため、5類移行後も適切な医療を維持するために必要な支援を継続する必要性に言及。外来・入院、そして自宅での療養者等への当面の支援継続を求めました。さらに、初めて後遺症対策を提言に盛り込みました。
高齢者施設での対応
これらに加えて、新型コロナに感染した場合に重症化するリスクが高い高齢者施設等での施設内療養の体制構築等の取り組み等に関する各種支援の継続や学校・幼稚園・保育所等での配慮、5類移行後も継続したサーベイランス体制の維持構築、ワクチンに関する正確な情報発信ならびに誤情報対策、緊急時の迅速な水際対策の実施等を求めています。さらに、海外からの訪日観光客が増加することも予想されるため、医療費未収問題への対策の検討も要請しています。
これらの各種の取り組みを、平時から国民に対して積極的な発信を行うような広報体制の充実を政府に求めています。
提言のポイント
I.総論
- 〇 5類移行に伴う各種の取り組みを進める中で地方自治体に過重な負担が生じないよう、政府として必要な支援を行うこと。
- 〇 継続する支援等についての内容やスケジュールを示すこと。
II.各論
1.患者等対する支援
- 〇 医療費の自己負担は、一定の公費支援を当面継続すること。
- 〇 外来医療費や入院医療費に関する公費支援の継続を検討すること。
2.医療体制
- 〇 外来・入院の医療体制に関し、円滑に移行が進むよう十分な期間を確保すること。
- 〇 外来医療体制の維持・拡大に必要なこれまでの特定措置等の必要な支援を当面継続すること。
- 〇 自宅療養者への必要な支援を当面継続すること。
- 〇 後遺症対策の医療提供体制の整備を進めて行くこと。
3.高齢者施設における対応
- 〇 高齢者施設等への各種支援を継続すること。
4.学校・幼稚園・保育所等で基本的感染対策の考え方の周知等を図ること。
- 〇 学校・幼稚園・保育所等で混乱が生じないよう配慮すること。
5.サーベイランス
- 〇 変異株の発生動向の把握等重層的なサーベイランス体制を構築すること。
6.ワクチン
- 〇 令和5年度の秋冬に使用するワクチンに関して、早期に結論を得ること。
- 〇 ワクチンに関する誤情報対策に積極的に取り組むこと。
7.水際措置
- 〇 状態が急変時等に必要な水際対策の措置を迅速に講じること。
8.訪日外国人観光客への医療費未収対策
- 〇 医療費未収発生予防に資する各種取り組みを引き続き進めること。
9.マスク等の基本的感染対策
- 〇 新型コロナの予防に必要な情報を積極的に提供すること。
10.新たな変異株が発生した場合等の対応
- 〇 病原性が異なる変異株出現時等の有事対応を、事前に国民に示すこと。
11.研究支援
- 〇 これまでの新型コロナ対策での経験を踏まえ、研究開発基盤の整備・活用する取り組みを推進すること。
12.国民とのコミュニケーション、政府の広報体制
- 〇 平時から積極的な発信を行うことで、国民との適切なコミュニケーションを行うこと。