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自由民主1面コラム「幸響」
八木 哲也 広報本部新聞出版局長代理

自由民主1面コラム「幸響」八木 哲也 広報本部新聞出版局長代理

人形が舞った。

豊田市で、約140年ぶりに復活した祭りがある。「小田木(おだぎ)人形」という▼小田木町は豊田市と合併した旧自治体にある、過疎に直面している小さな町である。小田木人形は江戸時代に始まり、明治8年の「村中倹約申し合わせ」で廃止されるまで、約120年の歴史があった。人形の頭や衣装は今も残り、県指定有形民俗文化財となっている。神社には、今も人形舞台がある▼約5年前に、地元の有志が集まり、復興に向けて「小田木人形座」を立ち上げた。人形を操ることも、浄瑠璃を語ることも、すべて「無」からの出発である。長野県飯田市の「黒田人形」や、岐阜県恵那市の「恵那文楽」の人たちの温かいご指導を頂いた▼最初は人形一体を操る「三番叟(さんばそう)」を演じた。その時、「140年ぶりに人形が舞った」と涙を流す古老がいた。今年は二体を操り「壷坂霊験記(つぼさかれいげんき)」を演じた。着実に進歩している。彼らの血肉の中に140年間眠り続けていたDNAが目を覚ましたのだ。祭りにはそういう力が潜んでいる。地方創生にもつながる起爆剤になるのではないか。

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