岸田文雄総理が8月29日に永岡桂子文部科学大臣とオンラインで面会した際に、「現行の『留学生30万人計画』を抜本的に見直し、外国人留学生の受け入れだけでなく、日本人留学生の送り出しを加えた『新たな留学生受入れ・送出し計画』を策定する」よう求めたことについて、「国費で外国人留学生を増やすのではないか」といった、誤解がSNS上で広がっています。外国人留学生はわが国の教育・研究分野や外交において重要な存在で、政府与党では、優秀な留学生の戦略的な獲得に取り組んでいます。わが国における外国人留学生の状況や、新たな計画を策定する意義についてQ&A形式でまとめました。
「外国人留学生だけ優遇」は誤解
- 「留学生30万人計画の抜本的見直し」とはどのようなものですか?
- 政府では平成20年に「留学生30万人計画」を策定していました。令和元年には海外からの留学生は約31万人を受け入れていましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大で、現在、わが国の留学生数は30万人を下回っています。 岸田総理は、自ら議長を務める政府の「教育未来創造会議」で、コロナ後のグローバル社会を見据えた「人への投資」の具体化に向けて、現行の「留学生30万人計画」を抜本的に見直し、外国人留学生の受け入れだけでなく、日本人留学生の送り出しを加えた「新たな留学生受け入れ・送り出し計画」を策定することを永岡大臣に指示しました。
- その指示の「受け入れ」の部分だけが注目されて報道された?
- 報道機関のニュースでは「受け入れ30万人からさらに拡大を検討」と報じられました。しかし、岸田総理が外国人留学生の受け入れ・日本人留学生の送り出し双方について、新たな計画を策定するように指示しています。そのため、「外国人留学生だけを優遇」というのは全くの誤解です。なお、教育未来創造会議において、5月にまとめた第一次提言では成長分野への大学等再編に向けた支援、給付型奨学金等の中間層への拡大やライフイベントに応じた奨学金の出世払いの仕組みの創設、学び直し(リカレント教育)を促進するための環境整備等について、多岐にわたる政策提言を既に行っています。人への投資を通じた「成長と分配の好循環」を教育・人材育成でも実現するため、わが国の大学や日本人学生への支援についても重点的に取り組んでいます。