新産業政策の構築を
バブル景気の頃、私は海部俊樹総理の秘書として官邸から眺めていたが、「日本経済は世界最強で産業政策はもはや不要」、「輸出環境を整える」通商政策だけが重要という風潮だった。その結果、ものづくり大国日本も気付いてみればDXに遅れをとり、サプライチェーンの脆弱性を露呈した▼「生き残るのは最も大きいもの強いものでなく、最も環境変化に適応できたもの」と進化論で説かれているように、経済においても変化に機敏に適応できた企業だけが生き残る▼経済産業副大臣当時、私はその信念でピンチをチャンスに変えるべく事業再構築補助金やものづくり補助金、IT導入補助金等、中小企業が果敢に変革に挑戦できる支援策を進めた。また、経済産業省は将来の日本を引っ張る産業育成にこそ重点を置くべきと省内でも説き続けた▼現在は大変な円安・資源高で大きな試練だが、何番目かの黒船到来と考えれば長年苦しんできたデフレから脱却する格好の機会でもあり、これをてこに積極的な産業政策を推進すべきだ。