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1外交・安全保障
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外交
- 国際協調主義に基づく積極的平和主義のもと、日米同盟を基軸に、豪州、インド、ASEAN、欧州など普遍的価値を共有する国々との連携を強化し、「自由で開かれたインド太平洋」など地球儀を俯瞰する外交をさらに力強く進めます。
- 北朝鮮に対し、制裁措置の厳格な実施とさらなる制裁の検討を行うなど国際社会と結束して圧力を最大限に高め、関係国政府・議会および国連に対する連携や働きかけを強化します。これらを通じ、核・ミサイル開発の完全な放棄を迫り、あらゆる手段に全力を尽くして拉致被害者全員の即時一括帰国を目指します。
- 歴史認識等を巡るいわれなき非難への断固たる反論をはじめ、わが国の名誉と国益を守るための戦略的対外発信を強化するなど、韓国・中国等の近隣諸国との課題に適切に対処します。
- わが国固有の領土である北方領土問題の解決に向け、ロシアとの平和条約締結交渉を加速します。竹島・尖閣諸島等のわが国固有の領土・主権に係る第三者研究機関を設置し、歴史的・学術的な資料等の調査を深め、常設展示館を拡充するなど、国内外への情報発信をさらに強化します。
- 関係国と連携して国連改革を推進し、わが国の安保理常任理事国入りの実現に向けた取組みを強化します。また、国際機関に対する分担金等を適正に拠出し、その質を高める評価を行い、邦人職員の増強とともに、発信力やプレゼンスの強化に努めます。
- 国益に即したODAを質・量両面で拡充し、その評価を行うことで、納税者の理解を得られる効果的な開発協力を推進します。また、わが国のODAと民間の投資を有機的に結合し、日本経済の海外進出を一層強固にします。
- 自由貿易主義を牽引し、国益に即した経済連携協定、投資協定・租税条約の締結を推進して諸外国の活力をわが国の成長に取り込み、力強い経済成長を達成するとともに、国益確保の観点からグローバルなルールの策定への貢献を推進します。また、中小企業を含む日本企業および地方自治体の海外展開支援を強化します。
- 多岐にわたる外交課題に取り組み、わが国の国益を確保するため、積極的な議員外交の展開と併せて、外交実施体制を欧米主要国並みに整備します。また、わが国の安全に関わる情報の収集・分析・共有体制を一層強化します。
- 日本型司法制度の強みを「司法外交」の重要なソフトパワーとし、2020年開催の国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)に向け、国内外の取組みを戦略的に進めます。
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安全保障
- 中国の急激な軍拡や海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル開発など、わが国を取り巻く安全保障環境が激変する中、専守防衛を旨とし、国民の命や平和な暮らし、領土・領海・領空を断固守り抜くため、万全の態勢を構築します。
- 平和安全法制により可能となった、あらゆる事態への切れ目のない対応や邦人救出等の任務に関し、態勢構築や能力向上を着実に進めます。また、日米同盟や友好国との協力を不断に強化し、わが国の抑止力の向上を図ります。国際社会の平和と安定の確保にも引き続き積極的に貢献します。
- 新たな「防衛計画の大綱」・「中期防衛力整備計画」に基づき、宇宙・サイバー・電磁波等の新領域における自衛隊の体制を抜本的に強化しつつ、陸海空の従来領域と新領域を横断した「多次元統合防衛力」の構築を推進します。
- 統合防空ミサイル防衛(IAMD)の構築を含め、わが国の弾道ミサイル対処能力を進化させるとともに、水陸両用作戦をはじめ南西地域の統合運用の能力向上等を通じて島嶼防衛を強化するなど、重大かつ差し迫った脅威や不測の事態に対処できる態勢を整備します。また、住民避難訓練の成果を踏まえ、あらゆる事態を想定した国民保護の態勢を確立します。
- 厳しさを増す安全保障環境に対応するため、後方分野も含めた自衛隊の持続性・強靭性を確保しつつ、人員・装備の増強など防衛力の質と量を抜本的に拡充・強化します。隊員の募集体制の強化、名誉や処遇の向上にも引き続き取り組みます。
- 「防衛装備移転三原則」のもと、戦略的に研究開発や友好国との防衛装備・技術協力を推進するとともに、防衛装備庁を中心に産官学、省庁間の連携を深化させ、技術的優越を確保しつつ、国内の防衛生産・技術基盤を維持・強化します。
- 日米安保体制の抑止力を維持しつつ、沖縄等の基地負担軽減の実現のため、普天間飛行場の辺野古移設や在日米軍再編を着実に進めるとともに、基地周辺対策として関係自治体への重点的な施策を実施します。米国政府と連携して事件・事故防止を徹底し、日米地位協定はあるべき姿を目指します。また、基地周辺住民をはじめ全国民の広範な理解と協力を得るため、迅速かつ丁寧な説明を行う態勢を強化します。
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2経済再生
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経済再生・成長戦略
- 成長戦略、働き方改革、生産性革命、人づくり革命など、あらゆる政策を総動員し、潜在成長率の引上げ、デフレ脱却、新たな国民の需要掘り起こし、海外需要の取込み等を進め、GDP600兆円経済を実現するとともに、成長と分配の好循環を創り上げます。また、ローカルアベノミクスを推進します。
- 第4次産業革命において最大の資源となる「データ」を利活用できる環境をいち早く整備するため、省庁横断的かつ多様・高度な専門家で構成される専門組織・司令塔として「デジタル市場競争本部(仮称)」を設置し、世界に先駆けたイノベーションを生み出します。また、ロボット、IoT、AI(人工知能)、5G等の第4次産業革命の技術をあらゆる産業や国民生活に取り入れて、よりスマートで豊かな暮らし(Society5.0)を実現するとともに、人手不足、少子高齢化や地球環境問題等の課題を解決します。
- 国際社会において、わが国が先導役として取り組むことで、プライバシー保護と自由なデータ流通を両立させ、民主主義の持続可能性を確保します。併せて、国内におけるプライバシーやセキュリティ確保のためのルール・体制整備、Society5.0を支えるデータ流通政策を推進するための戦略的体制整備や民間におけるデータ流通を促進する取組みを強化します。
- イノベーション促進のため、デジタル・プラットフォーマーの持つ利点を最大限引き出しつつ、その問題点を適切に解決するルールを整備するため、「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)」の策定等、デジタル経済における公平・公正なルールづくりを進めます。
- マイナンバーカードにおける厳格な本人確認を行った利用者IDを格納する「マイキープラットフォーム」と「自治体ポイント管理クラウド」について、民間の活力を最大限活用し、行政サービスと民間サービスの共同利用型キャッシュレス決済基盤を構築するとともに、マイナンバーカードの利活用を推進し、各種手続きがオンラインで完結する行政システムへの転換を図ります。
- 第4次産業革命によってもたらされる分散化・パーソナル化の力に合わせて、多様で柔軟な働き方や企業組織を広げ、人材・技術・資本を囲い込む組織運営からより開放型・連携型の組織運営に移行し、成長の成果が幅広く分配されるボトムアップ型の経済社会をつくります。
- 第4次産業革命の基盤となるデータ活用を加速するなど知財システムの整備、知財創造教育の充実等に取り組み、産業界、大学のみならず需要サイドも巻き込んでイノベーションが自律的かつ持続的に生まれ続けていくよう、イノベーション・エコシステムの早期確立を目指します。
- バイオ(合成生物学等)とデジタルの融合により、高付加価値製品(バイオ医薬・機能性食品・革新バイオ素材・燃料等)の創生を可能とする、バイオエコノミーを推進していきます。
- 都市公園での保育所設置や遠隔服薬指導の解禁など大きな成果をあげてきている国家戦略特区について、さらなる透明性の向上、運用の柔軟化、早期の全国展開などを通じ、岩盤規制改革に徹底的に取り組みます。
- 地域限定型の「規制のサンドボックス制度」を創設し、自動走行、ドローン、電波利用などの近未来技術の実証実験の迅速化・円滑化を図るなど、様々な分野でのチャレンジを後押しします。
- 国家戦略特区制度を基礎に、AIやビッグデータなどを活用し、世界に先駆けて未来の生活を先行実現する「丸ごと未来都市」を目指す「スーパーシティ」構想の実現に向け、域内独自で複数の規制改革を同時かつ一体的に進めることのできる制度の創設や、Society5.0に向けた技術的基盤の整備を進めます。
- 戦略的インフラマネジメントの推進、建設、物流分野等の生産性向上、自動運転、ドローン等の新技術の社会実装など、「生産性革命」を推進します。スマートシティや次世代モビリティの推進、インフラの整備・管理・機能や産業の高度化、データの横断的活用やプラットフォームの構築等の取組みを推進します。
- 建設現場における「i-Construction」・BIM/CIMの取組みを推進するとともに、「i-Construction」の3次元データと経済活動や自然現象のデータを組み合わせ、「国土交通データプラットフォーム」を構築します。
- 日本の魅力を効果的に発信するクールジャパン戦略を強化・拡充し、マーケットインの考えに基づき、資源や人材の育成・活用、異業種や地域間の連携、日本に対する関心と愛情を持つ日本ファン増加のための取組み等を積極的に展開します。
- わが国の強みの一つである優れた環境技術やインフラシステムの海外展開について、オールジャパンの体制で戦略的な取組みを行い、民間企業の海外展開を支援するとともに、政府のトップセールス等を戦略的に駆使し、受注競争を勝ち抜きます。
- 航空自由化(オープンスカイ)の推進や空港使用に係るコストの見直し等を通じ、国際競争力の強化を図ります。
- LCCを含め国内外から地方空港への就航、空港コンセッションによる利便性向上、ビジネスジェット施設や空港アクセスの改善、持続可能な地域航空のための協業、地上支援業務や搭乗手続きの自動化、航空保安体制の強化等を通じ、空港機能やネットワークの充実を図ります。
- 日本産酒類の海外展開を推進するため、地域の特性や嗜好を踏まえた効果的な普及促進や、ブランド力の向上、輸出環境の整備や、インバウンドの促進などによる国際競争力の強化などの対策を推進します。
- 中長期的な企業価値向上に向け、スチュワードシップ・コードの改訂を通じて企業と投資家の建設的な対話を一層促すことや、社外取締役設置の義務付け等を含む会社法制の見直しの早期実現を目指すことにより、コーポレートガバナンス改革を「形式」から「実質の充実」へと深化させます。
- わが国の国際競争力の向上のため、スタートアップ・エコシステム(スタートアップ企業やイノベーション企業が自律的・連続的に生み出される仕組み)や、スタートアップ企業と大企業との連携の強化を通じ、第4次産業革命時代のイノベーション創出を加速します。
- 「地域基盤企業」と言える地域銀行および乗合バスの2分野の事業者について、人口減少によるインフラ機能維持や経営力強化のための経営統合、共同経営等に関し、特例的な措置を講ずることで、地域の経済、産業、社会を守ります。その際、独占禁止法の究極的な目的である「一般消費者利益の確保」の観点についても最大限尊重します。
- 「地域未来牽引企業」が取り組む事業に対し、「地域未来投資促進法」の活用等による後押しや、地方公共団体とともに予算、税制、金融、規制緩和などの様々な政策手段を組み合わせることで、地域に経済波及効果を生み出すことを目指します。
- 2025年の大阪・関西万博の成功に向けて、政府、自治体、経済界と密に連携しながら、準備に全力で取り組みます。また、国内外での機運醸成等に積極的に取り組みます。
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中小企業
- 中小企業・小規模事業者は、日本社会が直面する様々な課題を解決できる切り札ですが、多くの課題に直面しています。現場に足を運んで現実を感じ取り、事業承継、人材確保、設備投資・IT導入、資金繰り、取引環境の改善、商店街振興などについて、寄り添った支援を行うとともに、消費税率引上げ、働き方改革等に万全の対応を行います。
- 中小企業・小規模事業者が抱える経営課題の解決につながるよう、兼業・副業形態も含めて中核人材を確保するための取組みを強化します。また、人手不足の解消に向けて、IT利活用などの生産性向上の取組みや、女性・高齢者などの国内人材確保の取組みを進めます。それでもなお人手確保が困難な分野では、特定の地域に集中することがないよう効果的な対策を講じつつ、外国人材の適正な受入れを支援します。
- 守りのIT導入(業務効率化等)に加え、攻めのIT導入(売上拡大等)、さらにはデータ活用まで、先導的なデジタル化を支援します。このため、デジタル化を武器に成長しようとする中小企業を包括的に支援する「スマートSMEプロジェクト」により、スマートSME推進補助金の創設、国内外のECやクラウドファンディング等も活用した販路開拓、中小企業の実態に合ったAIツール開発とAI人材育成の一体的推進に取り組みます。
- 中小企業・小規模事業者の円滑な事業承継を促進するため、10年間にわたって相続税や贈与税を実質的に全額免除する事業承継税制を、昨年に法人向け、今年に個人事業者とともに措置しました。これらの税制が十分に活用されるよう、周知徹底を図るとともに、早期の計画的な事業承継の準備から、事業承継後の経営革新等への支援まで、切れ目のない支援を行います。また、後継者不在の事業者向けに、第三者による承継を含め、貴重な経営資源が引き継がれるよう、さらなる支援策を検討します。
- 金融機関が中小企業・小規模事業者に寄り添って「ひと手間かけて育てる」機能を十分に発揮するため、担保・保証に依存しない融資を進めます。とりわけ経営者保証については、事業承継を阻害することのないよう、新旧経営者への二重徴求の慣行を見直します。また、FinTech等の新たな技術の動向も踏まえ、中小企業・小規模事業者の資金繰りニーズに合った多様なサービスが展開されるよう検討します。
- 成長の果実が、大企業と中小企業・小規模事業者間で、また、正規雇用者と非正規雇用者間で、それぞれ適正なバランスで分配されるよう、利益や賃金の状況等を業種別に検証した上で、各業種の労働者の賃金上昇が適正に行われるように努めます。
- 地域コミュニティを下支えする商店街について、消費税率引上げも見据えつつ、近年大きく伸びているインバウンドや観光による地域外の需要の取込みを含めて、支援を行います。
- 消費税率の引上げに伴う混乱が生じることのないよう、消費税率引上げに合わせて行うポイント還元事業、軽減税率に対応したレジ・システムへの補助、周知広報や相談対応、消費税の転嫁状況の監視・取締りなど、万全の支援を行います。
- 下請取引のあり方を改善して下請企業の適正な収益を確保するため、下請Gメンなどによる実態把握を強化するとともに、産業界が策定する「自主行動計画」の着実な実行と策定業種の拡大を図ります。また、独占禁止法や下請法の運用の徹底を図ることにより不当行為の取締りを進めます。
- 今年4月から大企業に時間外労働の上限規制が適用されたことに伴い、大企業が中小企業・小規模事業者に無理な発注等を行うようなことのないよう、周知徹底するとともに、下請Gメン等による取引実態の把握を進めます。
- 来年4月から中小企業・小規模事業者においても本格化する働き方改革にしっかりと対応することで人材確保や生産性向上にもつなげられるよう、中小企業・小規模事業者に対して必要な取組み等を分かりやすく周知するとともに、自治体や商工会・商工会議所等とも連携しつつ、きめ細かな支援を行います。
- 地域の中小企業・小規模事業者にとって身近な支援機関である商工会・商工会議所や、よろず支援拠点などを通じて、各種の支援措置を全国津々浦々まで行き渡らせます。また、支援機関の専門性や支援実績等の見える化、デジタル・トランスフォーメーションを進め、より効果的・効率的に施策を実現します。
- 中小企業・小規模事業者が、新事業展開や海外展開に果敢に挑戦できるよう、研究開発から、新商品・サービス開発、設備投資、販路開拓までの幅広い取組みについて、クラウドファンディングなどの民間での展開が拡大されつつある多様な支援サービスとの連携も含めて、きめ細かな支援を行います。
- 頻発する自然災害の教訓を踏まえ、中小企業・小規模事業者が防災・減災の事前対策に取り組めるよう、計画策定支援等を充実強化します。また、災害発生時に被害の把握、プッシュ型支援等を迅速に実施できるよう、体制整備など事前の備えを充実強化します。
- ITや働き方改革等の進展に伴い、創業への障壁が低くなっていることを踏まえ、年齢、性別、地域を問わずに多様な担い手によって、ゼロからの創業、経営資源を引き継いで行う創業、事業承継といった多様な形態での創業が進むよう、自治体をはじめとする地域の支援機関とも連携しつつ、きめ細かな支援を充実強化します。
- 「成長と分配の好循環」を着実に回し、経済を拡大させていくため、引き続き最低賃金を含めた賃上げを進めます。特に、最低賃金については、地域経済や中小企業・小規模事業者の実情、地域間格差に配慮しつつ、引き続き年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げることで、全国加重平均が1,000円になることを目指します。
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科学技術
- 「科学技術力は国力に直結する」との考えのもと、「世界で一番イノベーションに適した国」を目指し、「第5期科学技術基本計画」や先の臨時国会で改正した「科学技術イノベーション活性化法」に基づき、「Society5.0」の実現に向けた科学技術イノベーションの活性化を官民挙げて推進するとともに、5年間総額26兆円の政府研究開発投資を目指します。
- 新たな産業フロンティアとして国際争奪競争になっている宇宙分野において、高精度測位を可能とする準天頂衛星システムや衛星データのオープン&フリー化とデータプラットフォームの整備、ベンチャー支援などにより、宇宙産業の倍増を目指すとともに、世界をリードして宇宙デブリ対策に取り組み、国際社会に貢献します。
- G空間社会の実現に向け、防災、スマート農業、自動運転・物流等のイノベーションを社会実装するため、G空間情報センターを中核として、G空間情報の集積と利活用を促進します。また、高精度測位を可能とする準天頂衛星システムについて、2023年度を目途に7機体制の確立および機能・性能向上、これに対応した地上設備の開発・整備・セキュリティ強化を着実に行います。
- iPS細胞などの健康・医療や、防災・減災、核融合を含む環境・エネルギー、H3ロケット等の宇宙航空、海洋・極域の各分野、もんじゅの廃炉を含めた安全確保対策や、原子力分野・素粒子物理分野の研究開発を推進するとともに、学術研究基盤の整備・共用を図ります。
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エネルギー
- 徹底した省エネ、再エネの最大限の導入、火力発電の高効率化、原発依存度の可能な限りの低減などの方針を堅持しつつ、安定供給と低コスト化を両立するための技術革新を図ることで2030年エネルギーミックスの確実な実現を目指します。また、2050年に向けたエネルギー転換・脱炭素化を目指し、あらゆる選択肢を追求します。
- 再生可能エネルギーについては主力電源化へ向けて、低コスト化、地域との共生、系統強化、調整力の確保等を促進します。各エネルギー源の特徴を踏まえつつ、新たなエネルギー関連の産業・雇用創出を図り、エネルギー転換・脱炭素化と経済成長の実現を両立します。
- 安全性を最優先し、新たな検査制度の円滑な施行に向けた準備など、実効ある原子力規制を着実に推進するとともに、原子力規制委員会によって世界で最も厳しい規制基準に適合すると認められた場合には、立地自治体等関係者の理解と協力を得つつ、原発の再稼働を進めます。また、円滑な廃炉を進めるとともに、さらなる安全性向上を追求するなど、原子力に対する社会的信頼の獲得に向け全力を注ぎ、様々な課題に対応するための技術・人材の維持に向けた責任ある取組みを進めます。
- エネルギー自由化への対応を着実に進めつつ、近年増加する大規模災害に対応できるエネルギーネットワークの強靭化、再エネの大量導入を両立させる費用負担方式、過小投資問題への対処やネットワークをはじめとした電力投資の確保のあり方について検討を進めます。
- 水素や蓄電、原子力、分散型エネルギーシステム、CCUS、デジタル制御等、脱炭素化技術の開発、実用化・普及に国を挙げて取り組み、世界の脱炭素化や水素社会の実現への取組みを主導します。
- 海外からの輸入に依存する化石燃料やレアアースなど鉱物資源の安定供給を確保するため、上流権益の獲得や、柔軟で透明性の高い国際市場の整備を進めます。またメタンハイドレート、レアアース泥等日本の周辺海域に存在する海洋資源の開発を推進します。
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財政・税制
- 「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針のもと、引き続き、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」の3本柱の改革に取り組み、財政再建を着実に実行し、2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指します。同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指します。
- 全世代型社会保障の構築や財政健全化に向け、本年10月に消費税率を10%に引き上げます。軽減税率制度実施にあたっては、混乱が生じないよう万全の準備を進めます。
- 本年10月の消費税率引上げに際し、経済への影響を乗り越えるため、キャッシュレス化推進に向けたポイント還元の実施や、低所得者・子育て世帯対象のプレミアム付商品券の発行、住宅や自動車購入への予算・税制上の支援など、十二分な対策を講じていきます。
- 消費税率引上げに伴う反動減対策として、マイナンバーカードを活用して発行される自治体ポイントに対して、プレミアム率を適正に保ちつつ、期限を区切って国の負担でプレミアムを付与します。自治体ポイントを全国各地の商店等で利用できる環境整備を進め、消費の活性化を図るとともに、キャッシュレス基盤の構築に寄与します。
- 個人所得課税については、働き方の多様化等の経済社会の構造変化への対応や所得再配分機能の回復の観点から、これまでの改正の効果も見極めつつ、引き続き各種控除のあり方等の検討を行います。また、老後の生活等に備える資産形成を支援する公平な制度の構築に向けて、関係する税制の包括的な見直しに取り組みます。
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金融
- SDGsが目指す持続可能な社会の実現に向け、企業における気候関連(社会環境問題)のリスク・機会に関する情報開示の取組みへの支援等を通じて、企業経営や投資判断に際してESG等の要素の適切な考慮を促します。
- 人生100年時代の到来を踏まえ、国民が生涯にわたり安定的な資産形成を行うため、「つみたてNISA」をさらに普及するとともに、金融リテラシー向上のための施策を力強く推進します。また、高齢社会において金融サービスに対するニーズが多様化していることも踏まえ、金融事業者のサービスが顧客本位で提供されるよう徹底します。
- 東京の国際金融センター化の推進等、国際金融センターとしての機能を強化するとともに、総合取引所の早期の実現に向けて、幅広い商品デリバティブの上場等、投資家の利便性向上に向けた取組みを進めます。また、総合取引所の活性化に向け、金融所得課税のさらなる一体化について租税回避行為の防止策とともに検討します。
- 地域企業の生産性向上と地域経済の発展のため、地域金融機関が金融仲介機能を十分に発揮し、ガバナンス機能を含む環境変化への対応力が向上する対策を検討します。
- 金融サービス提供者の多様化・デジタライゼーションが進むなかで、API開放の加速・深化などFinTechをはじめとした金融イノベーションに関する取組みを深化・重層化・加速化することで、キャッシュレス決済をはじめ利便性が高く安定性が高い金融サービスの実現を図ります。
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行政改革等
- 「公務員制度改革基本法」の趣旨にのっとり、能力・実績による評価を徹底し、官民問わず意欲と能力を持った人材が活躍できる公務員制度へと転換します。
- 「根拠に基づく政策立案(EBPM)」のもと、目的や効果を明確に説明できる、透明性を持った政策立案・予算編成に取り組みます。その前提となる統計データの信頼回復を果たすべく、政府統計体制の強化やICTの利活用などの統計改革をさらに進めます。
- 国内外の諸問題に絶えず柔軟に対応ができる政府を確立するため、内閣官房に「業務の抜本見直し」推進チームを設け、官民の連携・役割分担の見直し、最新デジタル技術を用いた業務プロセス改革(BPR)、デジタル行革の推進、定員管理の見直し等に取り組み、行政が本来の役割に集中できる体制を整備します。
- 税制優遇等を受けている公益法人等について、さらなる信頼性確保のため、役員・評議員の基準見直し、監査体制の徹底など法律ベースのガバナンス強化に加え、チャリティガバナンス・コード策定を推進します。
- 新たな寄付のあり方を検討し、政策シンクタンク創設を後押しします。「日本版ホワイトハウスフェロー」として民間の若者に行政経験の機会を提供するとともに、大臣補佐官等の大臣スタッフのさらなる活用を通じ、官民をまたぐ政策人材を育成します。
- あらゆる災害に対応可能な常設機関(「日本版FEMA」)の必要性等について検討を行い、災害への事前の縮災対策を徹底するとともに、自助・共助・公助の分担の見直しや、生体認証・電子認証を活用した迅速な災害支援など法体系や制度全般の見直しを検討します。
- 選挙人の投票機会を確保するため、郵便等投票制度の対象者の拡大を図ります。また、幅広く意見を聴きながら被選挙権年齢を引下げの方向で検討するとともに、選挙運動規制等の公選法全般の見直しも進めます。
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2020東京オリンピック・パラリンピック
- 「復興五輪」として被災地が復興を成し遂げつつある姿を世界に発信するため、被災地と大会参加国・地域との交流を行う「復興ありがとうホストタウン」の取組みの推進、被災地産の食材や花き等の活用、「復興の火」の展示、福島県スタートの聖火リレーや宮城県・福島県での競技開催を行います。
- 競技開催地だけのイベントとすることなく、日本全国の祭典とするため、地方自治体を「ホストタウン」として登録し、大会成功に向けた機運を高め、地域活性化や観光振興等につなげていきます。また、スポーツや文化・芸術などの様々なイベントやプログラムなどを通じて、日本の魅力を発信します。
- オリンピック・パラリンピックの「レガシー(遺産)」として、心のバリアフリーの推進や公共交通機関、建築物、道路等のバリアフリー化を進め、障害者も高齢者も健常者も共生できるユニバーサルデザインの社会をつくります。
- 大会開催時の交通混雑緩和に取り組むとともに、テロやサイバーテロなどへのセキュリティ対策の万全と暑さ対策など安全安心の開催準備を進めます。
- 日本選手が多くのメダルを獲得できるよう、オリンピック・パラリンピック競技への一体的な支援の充実、国立強化拠点施設の共同利用の推進などにより、国際競技力の向上に取り組みます。
- 大会の場を「科学技術のショーケース」として、自動走行や水素社会の実現、顔認証システムや4K・8Kなどの最先端の科学技術を世界に発信し、国内外への展開を図ります。
- スポーツの成長産業化を図るため、スタジアム・アリーナの実現やIoTやAI活用等による新たなスポーツビジネスの創出の推進などによって、国・地域経済の活性化に貢献します。
- スポーツ・インテグリティの確保のため、スポーツ団体ガバナンスコードに基づく取組みを推進するほか、国際的なアンチ・ドーピング推進体制の強化支援や、ドーピング防止体制の強化を図ります。
- 日本で開催されるラグビーワールドカップや女子ハンドボール世界選手権等の成功を通じて、オリンピック・パラリンピックムーブメントを広げていきます。
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3人生100年時代
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女性活躍
- 政治の場への女性のさらなる参画を促進するため、「政治分野における男女共同参画推進法」に基づき、情報の収集・活用、啓発活動、環境整備等の取組みを加速し、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指します。
- 指導的地位に占める女性の割合を3割程度にすることを目指します。また、女性参画の拡大や将来に向けた人材育成を進めます。改正した「女性活躍推進法」により、中小企業にも行動計画の策定を義務付け、情報開示を拡大・徹底して労働市場・資本市場での活躍を促します。人生100年時代において、子育てが一段落した女性の学び、就労、起業を支援します。
- 女性の新しいキャリア・ステージの形である起業を支援します。女性起業家向けの情報発信、資金調達への支援、ロールモデルの充実、両立支援のための取組みなど、女性の起業ステージに応じた伴走型の支援を実現します。
- 女性に対するあらゆる暴力を根絶します。全国に設置された性犯罪・性暴力被害者支援のワンストップ支援センターの運営安定化と質の向上を目指すとともに、婦人保護事業の法的な措置を含めた抜本的な見直しを行います。
- DVやストーカーの被害者の支援や加害者に対する取組みを進めます。民間シェルターへの支援拡充やDV対策と児童虐待対策との連携協力を強化するとともに、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等の被害を根絶するための対策を推進します。
- 「女性の健康の包括的支援に関する法律」の成立を目指します。女性の健康を脅かす、乳がん、子宮頸がん、骨粗しょう症等の予防や、検診の受診促進を支援するとともに、妊娠期等の心身の特性に応じた保健医療サービスの連携体制を整備し、女性に特有の病気や性差を考慮した医療を推進します。
- ひとり親家庭に対し、仕事と子育ての両立支援、孤立化させないための居場所の確保などの支援を拡充します。
- 家事や子育ては女性が担うべきとする古い意識や風土を改め、「イクメン」や、妊娠・出産した本人やその配偶者の働き方を適切に管理する「イクボス」も含め、男性の意識改革と職場風土の改革を進めます。男性・女性を問わず、皆が育児休業を取得し、家事・育児を適切に分担する社会の推進に取り組みます。
- 旧姓の幅広い使用を認める取組みを進めます。まずは、住民基本台帳とそれに連動するマイナンバーカードにおいて旧姓併記ができるよう準備を進めます。また、パスポートへの旧姓併記の拡大に向けた検討や、銀行口座等の社会の様々な場面で旧姓使用がしやすくなるよう働きかけを行うなど、取組みを進めていきます。
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社会保障・子育て
- 人生100年時代の社会づくりに向けた「3つの100」を実現します。①「人生100年型の年金」を実現し、豊かな老後を守ります。②「100人100色の働き方改革」を進め、多様な生き方を支えます。③「保育受入れ100%」に向け、子育て支援をさらに強化します。
- 就労意欲を阻害する在職老齢年金の廃止・縮小、社会保険の適用ルール(いわゆる「130万円の壁」、「106万円の壁」)の見直しを進めるとともに、高齢期の多様な就業機会の確保、中途・経験者採用、副業・兼業など多様で柔軟な働き方を推進し、高齢者、女性、障害者を含め、誰もが年齢にとらわれず、自ら望む形で働ける社会を目指します。
- 長時間労働の是正、同一労働同一賃金、テレワーク等多様で柔軟な働き方など、働き方改革の実現や最低賃金の全国加重平均1,000円を目指します。各産業や地域の中小企業の実情を踏まえ、生産性向上に資するきめ細かい支援を行います。
- 健康無関心層を含めた予防・健康づくりを進めるため、国民起点で、行動経済学の知見やインセンティブ等の新たな視点を取り入れ、特定健診・保健指導実施率の向上、歯科健診機会の拡大、介護予防に資する通いの場のさらなる拡充などを推進し、健康寿命を延ばします。
- 人生100年時代に対応した年金制度の構築に向けて、厚生年金の適用拡大を進めるとともに、年金受給開始時期の選択肢の拡大、私的年金の活用促進等を進めます。
- 誰もが意欲と能力に応じて活躍できるよう、女性活躍、障害者雇用、治療と仕事の両立支援を推進します。特に、就職氷河期世代の人に対する就職支援・生活支援の充実、勤労者皆社会保険の実現(社会保険の適用拡大)等を進め、子供から高齢者まで、全ての世代の生活を支える人生100年時代のセーフティネットをつくります。
- 国民皆保険を堅持し、小児・周産期医療、救急医療等の確保、医師偏在対策、医師の働き方改革を進め、安心して受けられる医療の確保を図ります。住み慣れた地域で切れ目のない医療・介護が受けられるよう、かかりつけ医・歯科医・薬剤師機能の強化を含め地域包括ケアシステムを強化します。
- 病気の予防、重度化防止、いのちを支える高度な医療を提供するため、データヘルスやゲノム医療を推進するとともに、人手不足が課題となっている医療・福祉現場で、AI、センサー、ロボット、介護補助具等を活用し、医療・福祉分野の生産性の向上を図ります。
- 介護・福祉人材の確保と介護の受け皿整備を進め、介護離職ゼロを実現するとともに、介護予防・フレイル対策、共生と予防を柱とする認知症対策を進めます。ICT化の推進により介護・福祉現場のペーパーレス化を進め、介護職員がケアに専念できる環境をつくります。
- 本年秋からの幼児教育・保育の無償化と併せて、待機児童ゼロに向けて、「子育て安心プラン」を前倒しし、保護者の実情を踏まえた保育の受け皿整備を加速するとともに、保育士の処遇改善など保育士の確保を進めます。また、「小1の壁」が生じることのないよう、学童保育の質・量ともに拡充するなど、社会全体で子育てを支える仕組みをつくり、この国の未来を担う子供たちに大胆に投資します。
- 障害のある方の自立と社会参加のため、スポーツ、芸術・文化活動の振興、福祉、医療の充実に努めます。併せて、ひきこもりの方、生活困窮者への支援、断らない相談を含め包括的な支援体制の構築など地域共生の取組みを強化します。難聴児、医療的ケア児への支援など子供たちの育ちを支える取組みを進めます。
- 弁護士の配置など児童相談所の体制強化を盛り込んだ「改正児童虐待防止法」を着実に施行します。また、妊娠・出産・子育てへの切れ目ない支援を進めるとともに、ひとり親家庭をはじめとする子育て世帯への支援を充実し、虐待を生み出さない環境づくりを進めます。
- 「改正出入国管理法」等に基づき、増加する外国人労働者の方がわが国で安心して活躍できるよう、社会保険の着実な適用を進めるとともに、病院等における多言語対応や外国人労働者の適正な労働環境の確保を進めます。
-
教育・文化・スポーツ
- 「教育は国家の基本」であり、「知・徳・体・食」の均衡のとれた育成が重要であるとの考えのもと、10歳くらいまでに基礎・基本の習得の上に、小学校高学年以降子供たちが切磋琢磨できる学習環境や学校規模の確保、個に応じた指導の確立や体験活動の充実等を通じて、高い学力と社会性、倫理感を身に付け、時代を切り拓く力を持った子供たちを育みます。
- 安定財源を確保し、幼児教育・保育の無償化と「幼児教育振興法」の制定、年収590万円未満世帯を対象とした私立高等学校の授業料の実質無償化、真に支援が必要な所得の低い家庭の子供に限った高等教育の無償化を着実に実施、教育の機会均等を実現します。併せて高等教育・研究機関の取組み・成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を徹底し、特に問題のある大学には厳しく対応するなど、徹底的な大学改革に取り組みます。また、わが国の学校教育に重要な役割を果たす私立学校の振興に取り組むとともに、卒業後拠出金方式について検討を進めます。
- 人生100年時代を見据えて、キャリアアップに向けた社会人向けの講座の開発や受講者のさらなる負担軽減等の取組みを通じ、就職氷河期世代を含めた社会人の学び直しを支援します。
- 教師が子供たちと向き合う時間を増やすとともに、新学習指導要領を円滑に実施するため、学校での働き方改革を行います。そのため、ICTによる校務の情報化を進めるとともに、学校の指導・事務体制の効果的な強化、サポートスタッフや部活動指導員の配置促進、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)と地域学校協働活動の一体的な推進、さらには、教師の養成支援、採用と研修の一体改革などを進め、「チーム学校」をつくります。また、小規模な自治体の教育委員会への支援を推進します。
- 豊かな生涯の基礎となる一貫した道徳教育を着実に推進するとともに、発達段階に応じた作文や卒業論文の指導などの論理的思考や課題解決能力を伸ばす教育を推進します。
- いじめや児童虐待、不登校、発達障害などへの対策を強化するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、スクールロイヤー、特別支援教育支援員など、関係機関が連携して、相談・支援体制を強化します。また、インターネット内での問題行動に対する取組みを強化するとともに、家庭教育支援に関する方針の作成や「家庭教育支援法」の制定に向けた取組みを推進します。
- 英語教育の充実や高校教育改革を通じて、世界でも地域でも活躍する革新的な人材の育成を推進します。また、海外の日本人学校の教育環境を整備するとともに、海外から帰国した子供や外国人の子供の公立学校における受入れ環境を充実します。
- Society5.0の時代において、子供たちが未来社会を切り拓くために必要な資質・能力を育むため、子供たち一人一台のPC等の設備の実現や低価格で使用できる学習用PCの開発、それらを最大限活用するのに必要なSINETから教室までの高速通信ネットワークなど、学校のICT環境の抜本的な改善により、ICTを活用した学習の促進や情報モラル教育、依存症対策等に留意しつつ、子供たちが互いに切磋琢磨しながら一人ひとりの力を最大限引き出す教育環境の整備を図ります。
- 学校施設は、学習の場であるとともに、地域社会や防災、国民保護の拠点としての役割を果たすことから、国土強靭化の観点を踏まえ、非構造部材も含めた耐震化・老朽化対策や空調設備、トイレ改修、給食施設の整備などの学習環境整備、避難所としての防災機能の整備を支援します。
- 高等教育の質の向上に向けて、強みを活かした連携・統合の促進、国公立大、私大、高専、専修学校への支援・経営基盤の強化、高校との接続改革、社会人の学び直しやAIなど今後の社会変化を踏まえた教育等を推進します。
- 世界最高水準の研究拠点の形成や人材の育成・確保を行います。また、AI、材料、光・量子などの先端的な研究開発の支援や研究データや人材情報の利活用環境の整備等を推進し、産官学共創システムを構築します。
- わが国の研究力を向上させるため、特に将来を担う若手研究者や女性研究者の研究環境を整えます。博士課程学生やポスドクへの多様な財源による経済的支援の充実や優秀な若手へのポストの重点化を進めるとともに、基盤的経費の確保や競争的資金の充実等を通じて、研究環境の整備や独創的かつ挑戦的な研究への支援等、基礎研究の振興を推進します。
- 文化による国家ブランド力を高めるため、文化GDPに関する国際的な議論の先導や文化行政の基盤を整え令和の時代に相応しい文化立国日本を国内外に発信します。
- 障害者も含め、誰もが生涯にわたりスポーツを楽しめるよう、スポーツに親しむ機会の充実やスポーツ施設整備の推進を図るとともに、スポーツを通じた健康増進や地域活性化、スポーツの成長産業化などを通じて、スポーツ立国の実現を目指します。
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治安・テロ対策・海上保安
- 国際テロの脅威の拡散と犯罪の国際化を受け、警戒・警備、水際対策など治安関係の人的・物的基盤の拡充や、外国機関との連携強化等を通じて、国内テロ防止の取組みを促進するとともに、在外邦人・企業・学校・公館等の安全を確保します。
- 「世界一安全な国、日本」の実現に向け、「国際テロ情報収集ユニット」「国際テロ情報集約室」「国際テロ対策等情報共有センター」の活動を拡大・強化するなど、官邸を司令塔とし、喫緊の課題である情報収集・分析・発信を一層推進しつつ、国内組織のあり方の研究・検討を不断に進めます。
- 国民が安心して利用できるサイバー空間を確保するため、官民連携を進め、サイバーセキュリティを一層強化するとともに、サイバー犯罪やサイバー攻撃などへの対処能力の強化等に努めます。近年普及が進むIoT機器のセキュリティ対策を強化するとともに、Society5.0におけるサプライチェーン全体でのセキュリティ確保に向けた対策を推進します。
- テロの未然防止や国家安全保障政策に資するため、外国機関との連携を強化しつつ、サイバー空間を含む人的情報収集・分析を中心としたインテリジェンス機能を強化します。
- わが国の領土・領海の堅守に万全を期し、国民が安全・安心に暮らすことができる平和で豊かな海を守り抜くため、海上保安庁の海上法執行能力(人材の育成・定員の増員等)、海洋監視能力、海洋調査能力の強化、国境画定の起点等遠隔離島における活動拠点の整備等を推進します。また、海外の海上保安機関の能力向上支援や国際連携の強化等に取り組みます。
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生活の安全
- 高齢者が被害に遭いやすい特殊詐欺等の被害を防止するため、取締り強化、金融機関・関係事業者等と連携した被害防止対策に加え、子供や孫世代も対象として、家族や地域の絆による被害予防を呼びかける広報啓発に取り組むなど、官民一体の予防活動を推進します。
- 「世界一安全な道路交通」を実現するため、高齢運転者による交通事故防止対策の一層の強化、子供の通行路の安全確保、効果的な交通安全施設等の整備、緻密で科学的な交通事故事件捜査の推進等、総合的な交通事故抑止対策に取り組みます。
- 高速バス・貸切バス等の一層の安全性向上のため、全国規模の迅速かつ集中的な安全強化策の実施や継続的なフォローアップを通じ、事故の再発防止・利用者の信頼回復を図るとともに、陸・海・空の運輸安全の確保・強化に取り組みます。
- 安全安心にオンラインサービスを利用する際のカギとなるマイナンバーカードの普及促進を図り、自治体ポイント管理クラウド等を活用したキャッシュレス決済基盤を構築するとともに、健康保険証としての利用などを着実に実現します。また、マイナンバー制度のさらなる利活用を推進し、各種手続きがオンラインで完結する国民視点の行政システムへの転換を図ります。
- 消費者の安全で安心な暮らしを守るために、消費者行政の強化を目指します。また、消費者と事業者双方の信頼関係を構築していくとともに、自立した消費者を育成し、公正で持続可能な社会環境をつくります。
- 性犯罪について、多機関連携による司法面接など被害者の心情に配慮した取組みを進めるとともに、今後の施策検討に資するよう、性犯罪の実態調査などを確実に実施します。
- 安全で安心して暮らせる「世界一安全な国、日本」の実現に向け、「再犯防止推進計画」に基づき、国・地方公共団体・民間が一体となって再犯防止施策を推進します。また、子供たちの安全を最優先に確保すべく、交通安全、防犯、防災、国民保護の視点からハード、ソフト両面での施策を進めます。
- 高齢者、大規模災害の被災者、DV・児童虐待の被害者など社会的に弱い立場にある方々への日本司法支援センター(法テラス)による法的支援の取組みの強化を進めます。
- 児童虐待やいじめ、性的指向・性自認を理由とする偏見や差別など、様々な人権問題を解消するため、人権啓発活動を推進するとともに、早期発見・救済に取り組みます。
- 長期相続登記未了の土地や表題部所有者不明土地の解消のほか、所有者不明土地問題の抜本的な解決に向けた仕組みを整備するための法改正に取り組みます。
- 不動産市場・リフォーム産業の活性化、適正な建物評価の定着、取引市場環境の整備、賃貸住宅管理業の適正化、既存マンションの管理の適正化・建替え等の円滑化等を通じ、既存住宅ストックの有効活用や既存住宅市場の活性化を図ります。また、住宅団地の再生、空き家バンクの活用等による空き家の活用と低未利用地の利用促進を図ります。
- 所有者不明の場合等に調査を進められるよう地籍調査の円滑化・迅速化を図るとともに、土地の管理に関する所有者の責務を明確化するなど土地に関する基本制度を見直し、人口減少社会に対応した土地政策を再構築します。
- 相続登記の義務化など登記制度を抜本的に見直すとともに、土地の所有権を手放し、適切な利用・管理につなげることができる仕組みの構築に取り組みます。
- 高速道路について、利用者重視の分かりやすい料金に整理するとともに、大都市圏については、交通流を最適化する料金施策の導入に取り組みます。また、ETC2.0を活用した高速道路からの一時退出サービスのさらなる拡充など高速道路の利用しやすい環境整備に取り組みます。さらに、高速道路のツーリングプランの充実など自動二輪車の活用を推進します。
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共生社会
- 外国人の適正な在留管理の徹底を図るとともに、多文化共生社会の実現のため、一元的相談窓口の設置、行政・生活情報の多言語化、日本語教育や外国人児童生徒の教育充実などの受入れ環境整備を進め、外国人との共生社会を実現します。
- 性的指向・性自認(LGBT)に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の速やかな制定を実現するとともに、民間や各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、多様性を受け入れる社会を築きます。
- Society5.0の中で、高齢の方々や障害をお持ちの方々も含め、誰もがデジタル技術の恩恵により豊かな人生を享受できる共生社会を実現します。
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環境
- 海洋プラスチックごみによる汚染が世界的な課題となっていることを踏まえ、国内の資源循環体制の構築や海岸漂着物の円滑な処理をはじめとする海洋ごみ対策などを推進し、2030年までに使い捨てプラスチックの25%排出抑制を目指します。
- 地球温暖化を食い止め、気候変動による被害を防止・軽減するため、フロン類の排出抑制やESG金融の普及を含む各種施策を着実に推進し、2030年度温室効果ガス26%削減、2050年80%削減、そして今世紀後半のできるだけ早期の脱炭素社会の実現を目指します。
- 「2050年までに『自然と共生する世界』を実現する」とした「愛知目標」の達成に向け、生物多様性の保全と持続可能な循環型社会を推進し、自然の仕組みを基礎とする真に豊かな社会をつくります。
- 地域資源を活かして自立・分散型社会を形成する「地域循環共生圏」を創造するとともに、「SATOYAMAイニシアティブ」等を通じて海外への発信を図ります。
- カーボンプライシングについて、国際的な動向や日本の事情、産業の国際競争力への影響などを踏まえた専門的・技術的な議論を推進します。
- 昨年成立した「気候変動適応法」に基づき、既に生じ、深刻化が見込まれる猛暑・豪雨の多発や地域特産物の栽培適地の変化等に対応するため、国・自治体・企業の将来を見据えた取組みを促す適応策を推進します。
- 廃棄物処理施設の広域化・集約化・更新などを通じ、地域の安全・安心を確保するとともに、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換をはじめ、浄化槽の普及を通じ、暮らしやすいまちづくりを目指します。
- 愛護動物の虐待をなくし、不適切な動物取扱業者への対応を強化します。
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4地方創生
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地方創生
- 東京一極集中の是正を図るため、地方への移住や、地域との多様なつながり等を創出することで、地方への新しい人の流れを創り出すとともに、自治体と大学や金融機関等が連携し、地域経済の活性化に資するローカル・イノベーションを推進します。
- 本格的なIoT・AI・5G等を広く利活用し、地域の抱える様々な課題を解決するとともに、農業、医療、教育、雇用、交通、防災、観光、行政等の分野におけるイノベーションを創出し、Society5.0に対応した持続可能な地域づくりを後押しします。
- 21世紀の基幹インフラとなる5Gや光ファイバ等のICT基盤を地方・都市ともに整備し、4K・8Kといった高精細映像技術を放送サービスのみならず、医療をはじめ多様な産業分野で活用するとともに放送コンテンツの海外展開やネット配信を通じて地域の魅力を積極的に発信することにより、新たな市場を創出しつつ、地方創生や社会福祉の向上といった社会課題の解決を目指します。
- 近隣市町村を含めた圏域全体を牽引する大都市の役割を踏まえ、事務・権限の移譲や税財源の拡充、周囲との連携強化などの活性化策を実施します。
- 地方の意欲的な取組みを、情報面(地域経済分析システム(RESAS)等)、人材面(プロフェッショナル人材の活用等)、さらには財政面(地方創生推進交付金、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)等)から積極的に支援し、先駆的・成功事例を全国展開します。
- 地域における若者の修学・就業を促進するため、産官学連携のもと、地域の中核的産業の振興や専門人材育成等を行う優れた取組みを「地方大学・地域産業創生交付金」により支援します。また、地方における地元企業等に就職した者に対する奨学金返還支援制度を促進します。
- 過度な東京一極集中の是正および地方の担い手不足対策を図るため、東京から地方へ移住して起業・就業する際に最大300万円を支給する制度などを活用し、UIJターンによる起業・就業者の創出に取り組みます。
- 地域の特性を活かした地域の成長力を確保するため、地方公共団体が主体的に進める商店街活性化を支援し、地域における空き店舗、遊休農地、古民家等の遊休資産の活用などの取組みを進めます。
- 人口減少や高齢化が著しい中山間地域等において、地域住民が主体となった地域運営組織の形成を進めるとともに、生活サービス機能の集約・確保、集落生活圏内外との地域公共交通ネットワークを確保することによる「小さな拠点」の形成を推進します。
- SDGsを原動力とした地方創生を実現するため、全国各地で社会的課題の解決に取り組む民間の社会的事業者(ソーシャルベンチャー)を支援し、新しい担い手の確保に取り組むとともに、金融の仕組みを含めた官民連携やSIB・休眠預金などのソーシャルな資金の活用を進めます。
- 子供の頃から農山漁村に親しむ機会を拡充し大人となってからの移住の環境を整えるとともに、若者の地方移住の受け皿となる環境整備を行う制度をつくります。
- 全世代型社会保障の推進、地方創生や地域の実情を踏まえたきめ細かな単独事業の実施などに対応するため、地方一般財源を安定的に確保するとともに、地方分権改革が、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図ることにつながるよう、地方における「人材」の位置づけを明確にし、その確保を推進します。
- 仕事・住まい・旅・子育て・学びなど、あらゆる生活の営みに、遊休資産の活用を促すシェアリングエコノミーを取り入れることで、子育て中の女性の社会参画、過疎地域での空き家の活用、関係人口の創出などを進め、持続可能な社会を実現します。
- 地方創生や国土強靭化に資する全国の幹線鉄道ネットワークのさらなる充実に向けた取組み(基本計画路線に係る調査等)を進めます。
- 地域の移動を支えるバス、鉄道等の地域交通ネットワークの維持・活性化に向けて、必要な支援や、地域での連携・協働の取組みをサポートします。また、都市間の高速交通ネットワークの充実にも取り組みます。
- 人口が急減し、農林水産業、商工業などの地場産業の担い手が消滅しつつある地域について、ワークシェアリングの手法を活用しつつ、社会保険にも加入し、地域の担い手を確保する事業体を応援する枠組みの構築を図ります。
- 郵便局網を活かして地域との協調・連携を一層促進するとともに、交付金・拠出金制度等を通じて郵便局ネットワークを維持し、ユニバーサルサービスを確保します。社会環境が変化する中にあっても、将来にわたって郵便サービスの安定的な提供を図ります。ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の限度額、新規業務等については、利用者利便の観点から、さらなる見直しを検討します。
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農林水産業
- 夢と希望の持てる農政新時代を切り拓きます。国民が求める多様な農産物の需要に応じた生産の拡大を進め、食料自給率・食料自給力の向上を図る対策を強化します。
- 強い農林水産業を実現する産業政策と、家族農業経営も含め地域の多様な担い手が活躍できる農山漁村を創る地域政策を、車の両輪として力強く推進し、農業・農村の所得増大を目指します。
- TPP11や日EU・EPAの発効による農林漁業者の不安を払拭するため、「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づき、引き続き、農林漁業者の経営発展を後押しするとともに、経営安定に万全を期します。拡充したマルキン等については、着実な実施により経営安定を図ります。日米物品貿易協定については、2018年9月に日米首脳間で、過去の経済連携協定で約束した内容が「最大限」と確認されたことを踏まえ、しっかり対応していきます。
- 「2019年輸出額1兆円」目標の達成をバネに「輸出」を新たな稼ぎの柱とします。農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)を通じた海外ニーズ・規制に対応できるグローバル産地の育成、海外の市場開拓、地理的表示(GI)も活用した地域産品のブランド化、輸出のためのインフラ整備、検疫・規制の課題解決、規格・認証の活用を進めます。
- 米の需給と価格の安定を図るため、2018年産から見直した米政策を着実に定着させるとともに、米農家が所得向上を目指して自らの経営判断で作物を選択できるよう、飼料用米をはじめ戦略作物の本作化に向けた水田フル活用の予算(産地交付金を含む)は責任を持って恒久的に確保します。引き続きナラシ対策を安定的に実施します。
- 国が策定する需給見通し等を踏まえ、生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行えるよう、関係者の主体的な取組みを促す全国農業再生推進機構(米の全国組織)に対し、支援を行います。
- 米および米加工食品(米粉、日本酒を含む)の需要拡大に向け、海外市場の飛躍的拡大戦略など、内外の米の新市場開拓を強力に支援します。
- 2019年から開始した収入保険の加入を促進します。保険料の掛金率1%程度で、農家ごとの平均収入の8割以上の収入が確保されます。米、野菜、果樹、たばこ、茶、しいたけ、はちみつなど、農産物全てが対象になります。
- 「畜産クラスター事業」を推進します。中小家族経営を含む地域ぐるみでの生産基盤の強化を進め、力強い日本の畜産・酪農を構築します。チェックオフについて、引き続き検討を進めます。
- 和牛の受精卵と精液が国外に持ち出されるという事案が発生したことにかんがみ、わが国固有の財産である和牛を守るため、関係者との連携を強化し、法改正を含めて制度の見直しを検討します。
- 豚コレラについて、飼養衛生管理の徹底や野生イノシシ対策などまん延防止に全力を尽くすとともに、発生農家等の経営再開を支援します。中国などからのアフリカ豚コレラをはじめとする家畜伝染病や病害虫の侵入を防ぐため、空港や港における検疫探知犬の増頭、罰則適用の厳格化など、水際での検疫を強化します。
- 「改正畜安法」に基づく補給金制度のもと、いわゆる「いいとこどり」を防止することにより指定生乳生産者団体の機能を発揮し、酪農経営の安定、あまねく地域からの確実な集乳を確保します。労働負担の軽減に資する機械の導入などにより酪農の働き方改革を推進します。
- 「産地パワーアップ事業」を推進します。果樹・野菜・花きなど全ての農作物を対象に、品質向上・コスト低減や高収益作物・栽培体系への転換などそれぞれの地域の強みを活かした戦略的な取組みを支援します。
- 都市農業の可能性を高めるため、都市農業の安定的な継続と都市農地の有効な活用を図る制度の適正かつ円滑な運用を進めます。
- 農家負担のない農地整備事業を活用するとともに、農地中間管理機構をフル稼働させ、担い手の経営発展を支援します。農業委員会や関係機関がコーディネーターとなり、地域で一体となった話し合いに基づく人・農地プランづくりを進めます。
- 若い担い手の確保のため、農業経営塾、農業高校、農業大学校等の体制整備を進めます。支援対象者年齢を引き上げ、親元就農における農地について利用権設定も対象となった新規就農者への交付金の活用や法人化を推進し、若者が農業分野で「就職・就農・起業」するとともに、女性農業者が一層活躍できる環境を整えます。また、新たな在留資格「特定技能」の枠組みも活用した農業や食品加工業、外食業における外国人材の円滑な受入れを支援します。
- 成果の見え出した生産資材の価格引下げをさらに進め、農業者が生産資材を安定してより有利に仕入れることができる環境をつくります。卸売市場の活性化を含め、農産物を有利に販売できる流通・加工構造を構築します。
- 種子の安定供給のため、これまでどおり、都道府県への地方交付税をしっかり確保します。わが国の農業の競争力を支える優良な品種が海外に流出しないよう、種苗法でしっかり守り、海外からの逆輸入も防止します。
- 「農業農村整備事業」のコスト低減を図りつつ、着実に推進します。当初予算・補正予算を合わせて、2010年度の大幅削減前の予算を超える水準まで回復した本事業について、引き続き、予算の安定的確保を図ります。
- 近年の豪雨・地震等、頻発する自然災害に対し、被災した農林漁業者の一日も早い経営再開に向けて、農業用ハウスの再建や崩落した園地の復旧等、きめ細やかな支援対策を継続的かつ適切に講じます。
- 防災・減災、国土強靭化のため、ため池の保全管理の強化を図るとともに、3か年緊急対策において、農業用ハウスの補強、ため池の改修等を2018年度から3年間で集中的に実施します。
- 6次産業化・地産地消・農商工連携を推進します。2020年に6次産業の市場規模を10兆円に拡大し、農業・農村の所得増大を目指します。
- 農福連携を強力に推進します。障害者・生活困窮者の自立や高齢者の健康・生きがいの向上のための福祉農園の整備、障害者が農業技術を習得するための研修等を支援します。
- 中山間地農業を元気にします。「日本型直接支払制度」を着実に推進するとともに、「中山間地農業ルネッサンス事業」等により、意欲ある地域・農業者を支援します。また、古民家などの活用を通じて、農村地域の伝統的な生活体験や交流を楽しむ「農泊」を地域が主体となって推進するなど、インバウンドの受入れも含め都市農村交流を促進します。
- 棚田地域の振興に向け制度的枠組みを創設し、棚田の保全、観光資源化など棚田を核とした地域振興の取組みを支援します。
- 鳥獣被害対策に全力で取り組みます。捕獲の強化、鳥獣被害対策実施隊の設置促進など、地域ぐるみの対策を推進します。ジビエ利用の拡大に向けた取組みを支援します。
- JAグループが創意工夫により取り組んでいる自己改革を後押しします。准組合員の事業利用に関する規制のあり方については、農協組合員の判断に基づくものとします。
- スマート農業を推進します。中山間地を含めロボット、AI、IoTなどの先端技術の生産現場への導入を加速化するとともに、国・都道府県・大学・民間企業の「知」の総力を結集し、現場と一体となって技術革新を進めます。
- 林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を推進します。森林環境譲与税も活用し、新たな森林経営管理システムにより、意欲と能力のある経営者に森林の管理経営を集積・集約化するとともに、路網整備・間伐等を加速化します。
- 近年の山地災害の激甚化を踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策において、治山事業や森林整備事業を2018年度から3年間で集中的に実施します。
- 林業の新規就業者等多様な担い手を育成します。ICT等の新技術を活用した林業イノベーションを推進し、林業生産性を向上させます。CLT等新需要の拡大による国産材の利用拡大を図ります。花粉症対策苗木の植替え等を進め、花粉症ゼロ社会を目指します。
- 水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化のための取組みを引き続き支援し、漁業者が主役となった水産政策の改革を着実に実行することにより、漁業者の所得向上と若者などにとって魅力ある漁業の実現を図り、全国の浜を元気にします。
- 国際環境の変化に対応しつつ、浜の構造改革をしっかりと後押しするため、「広域浜プラン」に基づく漁船・機器の導入、施設の再編整備などや、計画的な代船建造を進め、漁業・養殖業を持続可能な収益性の高い操業体制へ転換し、水産日本の復活を目指します。
- 収入安定対策や燃油・配合飼料対策を実行するほか、担い手対策、漁業の構造改革、水産物の流通・消費の拡大、水産加工業の振興、海外輸出の促進などにより、水産業の成長産業化を実現します。
- 漁業経営に配慮しつつ、新たな資源管理システムを構築するため、資源調査・資源管理の充実を図るとともに、資源評価機関の独立性を確保し、科学的根拠に基づいた資源管理政策を進めます。併せて漁場環境の保全などを推進し、増養殖対策を講じます。
- 取締船の新造をはじめ漁業取締体制の強化を図り、外国漁船による違法操業を抑止するとともに、密漁対策の強化、周辺国との国際的な資源管理の強化などにより、日本周辺水域における資源の回復を図ります。
- 「浜プラン」を進めるとともに、国境監視など多面的機能の発揮対策、離島漁業再生に向けた漁業集落の活動、特定有人国境離島地域での雇用の創出を推進し、漁港・漁村地域を活性化します。
- 鯨類をはじめとする水産資源の持続的活用の方針を堅持し、本年7月から再開される商業捕鯨の円滑な実施を図ります。捕鯨にゆかりのある地域の捕鯨文化と関係者の生活を守り、商業捕鯨再開により、地域を元気にし、ひいては全国の活性化を図ります。
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観光
- 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2025年大阪・関西万博等の開催等を契機に、地方の隅々までインバウンドの恩恵が行き渡るようにします。
- 訪日外国人旅行者数2030年6,000万人等の目標に向け、ビザの戦略的緩和や出入国円滑化等による相互交流の拡大を図るとともに、外国語表記の充実、「言葉の壁」をなくす多言語音声翻訳機の普及、Wi-Fi整備、キャッシュレス等の受入れ環境整備、免税店の拡大等を早急に進めるほか、ジャパンレールパス等の利便性向上、交通アクセスの充実、外国人観光客に対する快適な医療の確保に取り組みます。
- 公的施設やインフラの開放、国立公園や文化財の観光活用、古民家活用や社寺観光の推進、健全な民泊サービスの普及、ナイトタイムエコノミーの活性化や体験型コンテンツの開拓による「コト消費」の拡大を図ります。
- 「IR(統合型リゾート)整備法」に基づき、様々な懸念に万全の対策を講じて、大人も子供も楽しめる安心で魅力的な「日本型IR」を創り上げます。また、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」に基づき、ギャンブル等依存症対策を徹底的かつ包括的に実施します。
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社会資本整備
- 「第4次社会資本整備重点計画」に基づき、インフラ老朽化対策等を図りながら、中長期的な見通しを持って、ストック効果の高い事業への選択と集中を推進するとともに、改正品確法等に基づく取組みや働き方改革(適正な工期設定、週休2日の確保等)の推進により、国土づくりの担い手でもあり地域の守り手でもある建設産業の担い手の確保・育成を図ります。
- 国土強靱化に資する高速道路のミッシングリンクの解消や4車線化等について、従来の事業評価にとらわれることなく、国民に約束した基幹ネットワークの整備を進めます。
- 人口減少、高齢化を克服し、老朽化対策や防災・減災対策、アクセス道路の整備など地方創生・多軸型国土形成や国土強靭化に資する地方の道路整備を重点的・計画的に支援します。
- ITS技術により自動運転の実用化、高速道路でのトラック隊列走行の早期実用化に向け、新東名・新名神の6車線化等のインフラ環境の整備を推進します。また、特殊車両通行許可の迅速化・効率化に取り組みます。
- 地域経済を支える道路ネットワークについて、新たな広域道路交通ビジョン・計画を幅広く検討した上で、物流上重要な道路輸送網を「重要物流道路」として指定し、安全かつ円滑な物流等を確保します。
- 民間施設に直結するインターチェンジ等の着実な推進、スマートICや「道の駅」への総合的な支援を行います。
- 整備新幹線(金沢―敦賀間、武雄温泉―長崎間)の建設費の上振れに対応するための安定的な財源見通しも踏まえつつ、新函館北斗―札幌間を含め、政府・与党申し合わせ等に基づき、開業効果をできる限り早期に発揮できるよう取り組みます。
- 整備新幹線の未着工区間(敦賀―新大阪間、新鳥栖―武雄温泉間)について財源を確保しつつ早期着工を目指すとともに、新幹線の基本計画路線をはじめとして、地方創生に役立つ幹線鉄道ネットワークの構築に向けて取り組みます。リニア中央新幹線の東京―大阪間の早期全線開通を目指します。また、新大阪駅の機能強化を図る「地方創生回廊中央駅構想」の早期実現に向けて取り組みます。
- 地域経済を支える港湾・航路の整備、国際バルク戦略港湾や国際コンテナ戦略港湾の整備、官民連携による国際クルーズ拠点の形成、洋上風力発電に係る海域利用の促進、港湾の耐震化による災害対応機能の強化等を図るとともに、「港湾完全電子化」の推進、AIターミナルの実現を図ります。
- 空港、水道、下水道、道路、高速バスターミナル施設等のコンセッション事業等、PPP/PFIの積極的な推進を図り、地域の活性化を進めます。
- 過疎地域において、日常生活機能の確保や地域産業の振興により定住できる環境を整備して、魅力的な地域づくりを図り、今後とも過疎対策の充実強化に全力を尽くします。
- 「過疎地域自立促進特別措置法」の来年度末の失効を見据え、新法の制定を視野に鋭意検討を進め、地域の皆さんの期待に応えていきます。
- 離島支援施策の充実や半島振興の推進により、定住や自立的・自律的な発展を図るとともに、「離島航路整備法」に基づく航路への確実な支援、奄美振興・小笠原振興の推進を図ります。
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沖縄振興
- 「強く自立した沖縄」を国家戦略と位置付け、税財政含めて沖縄振興策を総合的・積極的に推進します。特に、西普天間住宅地区の跡地利用の推進や、子供の貧困対策、北部・離島振興、観光振興、人材育成、モノレール3両化等の交通渋滞対策等に集中的に取り組みます。
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5災害対策・国土強靭化
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復興の加速
- 東日本大震災から8年、地震・津波被災地域の復興については、復興・創生期間が終了する2020年度までにやり遂げる、という強い決意をもって全力で取り組みます。
- 原子力災害からの復興を目指す福島県については、本格的な復興が緒に就いたばかりであり、復興・創生期間後も継続して、国が前面に立って中長期的、計画的な見通しのもとに安心して帰還できるよう取り組みます。帰還困難区域についても、たとえ長い年月を要するとしても、将来的にその全てを避難指示解除し、復興・再生に責任を持って取り組むとの決意のもと、一日も早い復興を目指して取り組みます。
- わが国においては大規模災害が頻発しており、国民の生命・財産を守り、国土の保全強化を図っていくことが急務です。このため、東日本大震災からの復旧・復興を成し遂げるための必要な体制を維持するとともに、国の防災体制の一層の充実・強化を図り、国民の安全・安心を確保します。
- 全ての被災地において、被災者の見守りや心身のケア、コミュニティ形成、生活・健康相談など切れ目のない支援を行います。
- 復興道路・復興支援道路の復興期間内の全線開通を目指すなど、基幹インフラの整備に全力で取り組みます。また、岩手県や宮城県における住宅再建については、復興期間中に仮設住宅での生活を解消できるよう全力で取り組みます。
- 被災地の産業・なりわいの再生に向け、風評払拭を含めた農林水産業の再生、外国の輸入規制の撤廃を含む販路回復・開拓や新商品開発など、きめ細かな支援に取り組みます。また、ラグビーワールドカップ2019や2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機として、2020年までに東北への外国人宿泊者数150万人泊の達成を目指します。
- 原発事故被災地では、大熊町の一部地域で避難指示区域が解除され、帰還困難区域についても特定復興再生拠点の整備が進むなど、本格的な復興がスタートしています。引き続き、医療・介護・教育・買い物などの帰還環境整備を進めるとともに、福島イノベーション・コースト構想を軸とした新たな産業集積の加速化、福島新エネ社会構想の推進、事業者・農林水産業者の事業再建に取り組みます。
- 福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策をはじめ、中間貯蔵施設の整備や指定廃棄物等の処理などについては、安全を最優先に関係者の理解のもと、引き続き国が前面に立って取り組みます。併せて、福島の復興の状況や放射線に関する正しい知識の情報発信を通じた風評やいじめ対策を進めます。
- 熊本地震、平成30年7月豪雨、北海道胆振東部地震等により被災した地域の復旧・復興について、道路・河川・鉄道・港湾施設等の本格復旧やインフラの整備、住宅再建・宅地の復旧等に対する支援を着実に進め、生活・生業の再建を推進します。
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防災・減災、国土強靭化
- 首都直下地震、南海トラフ地震、千島海溝沖地震などの大規模災害に備えるため、緊急輸送ルート、住宅やインフラの耐震化やリダンダンシーの確保、災害に強い物流システムの構築、TEC-FORCEの体制・機能の拡充・強化等を推進します。
- 7兆円規模の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を3年間集中で着実かつ迅速に実施し、事前防災・減災に資する災害に強い国づくり、国土強靱化を推進します。
- 国・地方公共団体・事業者等が個々に収集・管理している防災・減災に資する情報の共有とICTの活用を通じ、国民目線で、迅速かつ効果的な防災・発災対応、復旧支援を行います。また、災害からの回復力を向上するため、被災者の避難生活や心のケア、ボランティアによる共助の取組みの推進など、官民連携のもとで取組みを進めます。
- 拠点漁港における緊急点検を踏まえた3か年の緊急対策を実施するほか、漁港施設の地震・津波対策および長寿命化対策を進め、自然災害に強い漁港・漁村づくりを実現します。
- 豪雨の頻発・激甚化等への事前防災対策として、堤防整備・強化、河道掘削、ダム再生、砂防堰堤整備等の治水対策、河川内の継続的な樹木管理、計画的な大規模施設の更新、水災害情報提供の高度化等を図ります。
- 気象、地震・火山監視機能の強化、防災気象情報の改善や、防災気象情報および気象データの利活用の促進を加速し、地域の防災力向上や生産性向上に取り組みます。
- 災害時において常に信頼できる対応・対策が可能となるよう、防災組織の充実を図ります。また、災害事象の監視体制の強化とJアラート(全国瞬時警報システム)、Lアラート(災害情報共有システム)をはじめとした防災情報提供手段の多様化・高度化を図るとともに、ラジオ放送ネットワークの災害対策の推進と国土強靭化基本計画に基づくケーブルテレビの光化などへの支援を引き続き行っていきます。
- 緊急消防援助隊・消防防災ヘリをはじめとした常備消防力や、消防団を中核とした地域防災力のさらなる充実・強化に取り組むとともに、大規模災害に備える体制強化のため、広域防災教育訓練施設の充実を図ります。
- 上下水道の老朽化対策や耐震化等のライフラインの防災対策、ゲリラ豪雨に備えた下水道等の排水施設の効果的な整備、豪雪地帯における除排雪や融雪に対する支援の強化を図ります。
- 「無電柱化の推進に関する法律」等に基づき、積極的に無電柱化を推進し、電線管理者による地中化や道路事業等の実施にあわせた電柱・電線の設置抑制や撤去を進めます。また、幅員が著しく狭い歩道等も対象とし、新設電柱の占用禁止、既設電柱を撤去する占用制限を推進します。
- 原子力防災対策について、避難道路の整備や関係自治体が行う防災資器材の整備等に取り組むとともに、関係自治体と一体となって避難計画の具体化・充実化を図ります。
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6憲法改正
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- 「現行憲法の自主的改正」は結党以来の党是であり、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理はしっかり堅持し、初めての憲法改正への取組みをさらに強化します。
- わが党は改正の条文イメージとして、①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実の4項目を提示しています。
- 憲法改正に関する国民の幅広い理解を得るため、党内外での議論をさらに活発に行います。衆参の憲法審査会において、国民のための憲法論議を丁寧に深めつつ、憲法改正原案の国会提案・発議を行い、国民投票を実施し、早期の憲法改正を目指します。
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